PMBOK PROJECT MANAGEMENT

現役プロマネが解説!コストマネジメント【PMBOK】

こんにちは、MARCUS(マーカス)です。

予算内で仕事を終わらせたいけど、いつもオーバーしちゃう。どうすれば予算内で終わらせられるのか?コスト管理について方法や手順を具体的に知りたい。PMBOKのコストマネジメントとは何なのか知りたい。

そんなあなたのお悩みにお答えます。

本記事の内容

①プロジェクトでのコストマネジメントとは?
②なぜコストマネジメントが必要なのか?
③コスト管理成功への具体的な方法【経験談】

この記事は、建設系PM歴12年の私が書いていきます。

『コスト管理の基本をベースに予算通り仕事が終わる方法』『コストマネジメントの成功確率があがる手段』などについて、私の経験を元にご紹介します。

記事を読み終えれば、『コスト管理がなぜするのか、あなたが何をするべきなのか』がわかるようになりますよ。

『見積もりの手法がわからない』『もっと論理的に見積もりをしてみたい』という方は、まずこちらの本をオススメします!プロジェクトの関わる者であれば、一度は手に取る必読本です。

①プロジェクトでのコストマネジメントとは?

コストマネージメントは『プロジェクトの成功に直結する管理要素』です。

ポイント

コストを予算内を管理することは、品質・スケジュールと並んで『プロジェクトの三大管理要素の一つ』とされています

まずは、コストマネジメントの基本からお話していきましょう。

プロジェクトのコストマネジメントについては、PMBOK(Project management board of Knowledge)で規定されています。

プロジェクト・コスト・マネジメントは、プロジェクトを承認済の予算内で完了するための計画、見積り、予算化、資金調達、財源確保、マネジメント、およびコントロールのプロセスからなる。

PMBOK第六版 P.231

PMBOKってなに?という方は、まずはこちらの記事をどうぞ。
PMBOKとは?その特徴と活用方法【2つの注意点も教えます】

プロジェクトでのコストマネジメントは『10ある知識エリアの1つとして定義され、立上げ~終結までの5つのプロセス』の構成です。

計画プロセス(プロジェクト予算設定)
①コストマネジメントの計画
②コストの見積り
③予算の設定

監視コントロール(予算消費の監視と将来予測)
①コストのコントロール

コストマネジメントと言っても、そのプロセス自体はシンプル。

プロジェクトが始まったら、必要となる人・材料などの種類や量(工数)を考え『各コスト(費用)』を見積ります。

その後、それぞれのコストを合計してプロジェクト全体にかかるコストを求めます。

これを『プロジェクトの予算を設定する』と言います。

『コストのコントロール』では、設定した予算内でのプロジェクトが完了するように状況を確認し、変更を管理します。

①個別見積り⇒②合計して予算設定⇒③コントロールの手順ですね

それでは、もう少しコストマネジメント手順を噛み砕いてみます。

例えば、カレーライスを作る場合で話してみましょう。

✓個別の見積り

肉や野菜の材料費、料理をするためのガス代や電気代など、必要となるコストの項目を漏れなくすべて書き出ます。

次に何人前の材料なのか、どのくらいの調理時間になるのかなどの『見積りの根拠を明確にしながら、各項目にかかるコスト』を算定します。

✓予算を設定

個別の見積りで求めた各コストを合計すると『カレーライスを作るのに必要なコスト』として予算化するわけです。

✓コストのコントロール

事前に決めたレシピ通りにカレーライスを調理していくことになりますが、状況によっては想定とは違った対処をする場面がでてきます。

悪天候続きで思いのほか野菜が高かった、具材が大き過ぎて煮込み時間が長くかかった、なんて場合ですね

コストが多くかかった(変更)ことをそのままにしておくと、当初決めたカレーライスの予算内では調理が終わらなくなってしまいます。

そこで材料を安いものにする、種類減らすなどプラスマイナスの帳尻が合うように、その他の部分でコストを下げるようにするわけです。

そのことを『コストをコントロールする』と言い、そうすることで予算内でカレーライスが完成させることができます。

✓コストマネージメントの重要性

プロジェクトマネジメントとは、決められた予算・納期内で品質目標を達成することです。

ポイント

QCD管理(Quality品質、Costコスト、Delivery納期)は、プロジェクトの三大管理要素と考えられ、その知識エリアを理解し確実に実行することはプロジェクト計画の成功確率を上げるためには不可欠とされています

一見するととてもシンプルなコストマネジメントは一度予算を決めてしまえば、優先度を低く見られがちな知識エリアです。

ですが、プロジェクトが成功したと判断される重要な三大管理項目の一つであり、予算がオーバーした場合にはそのプロジェクトは失敗したと判断されます。

それはイコール、プロマネのあなたの責任となってしまう訳です

コストマネジメントは『プロジェクトの成功に直結し、さらにはあなたの評価の向上にもつながる』とても重要な管理項目であるこということがわかって頂けたでしょうか。

コストマネジメントのプロセス

大まかなコスト管理の流れはご説明しましたが、これからはPMBOKのコストマネジメントのプロセスについて具体的に見てみましょう。

コストマネージメントの計画

どのように予算を設定し、管理していくのか?という計画(方法や頻度など)を『コストマネジメント計画書』にまとめるプロセスです。

ポイント

管理の方法論について、事前に承認者の承認を得るため『作業基準書をまずは作る』と理解してください

いつ誰が何をどのように『決める・確認する・報告する』といったことを事前に計画書として規定します。

いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どうする、の『5W1H』を意識して文章を組み立てられれば、なお良いですね

計画書の具体的には、以下のような内容になります。

①測定単位
②精密さ、正確さのレベル(小数点何位まで?など)
③コントロールのしきい値(変動の許容範囲)
④パフォーマンス測定の規制(頻度、方法など)
⑤報告書式(書式、頻度、提出先など)
⑥その他詳細情報

プロジェクト計画書の書き方については、こちらの関連記事も合わせてどうぞ!

コストの見積り

各作業(アクティビティ)を完了するために必要な資源に対する妥当なコストを定量的に求めるプロセスです。

定量とは、数量・金額・時間と言った数えられる単位ということですね。数えられない場合は、非定量とか言いますよね

コストの見積りでは、その算出根拠を明確に記録しておくことが大切です。

計画が進むにつれ追加情報があったり、前提条件が確かめられるのに合わせてコストの見積りをレビューし、正確さを高めていくことになるためです。

一度コストを決めたら最後まで触らない!というのは大きな間違いですね

概算金額を求めた時の根拠がわからないと、精度を高めようにも何を基準にレビューのしたら良いのかわからない状況になりかねません。

どういう条件を元に作業工数x作業単価、その工数や単価を決めた理由などをエビデンスとして残しておきましょう。

『コスト見積りの根拠を残す』大切なことですので忘れないでください。

予算の設定

各コストを合計して、プロジェクトに必要な予算とするプロセスです。

ここで設定される予算が『コストベースライン』と呼ばれ、コストを監視コントロールするベースとなるプロジェクト予算の承認版になります。

関連記事
コストベースラインについて詳しく知りたい方はこちらをどうぞ!

コストのコントロール

決められた予算で計画を完了させるために、プロジェクトの状況を監視し、コストベースラインへの変更をマネジメントするプロセスです。

コストのコントロールは、コストマネジメント計画書で規定した頻度、方法でプロジェクト実行中は随時繰り返されます。

コストに関わる変更があった場合には、統合変更プロセスの所定の手続きを経て、コストベースラインが改訂されることになります。

✓将来のコストを予測

コストのコントロールは、現在まで計上したコストを元に将来のコストベースラインを予測する上で有益なプロセスになります。

現在の進み具合とコストの消費状況から、計画完了まででどのくらいの予算がかかるかが予測できる、ということ

もちろん、プロジェクトを予算内で完了できれば100点満点ですが、トラブルや追加要求などでコストが超過、なんてことは現実的によくあります。

何の前触れもなく急な追加予算申請で上司や顧客の印象を悪くするよりも、前もって情報を流しておくことでネガティブサプライズを避けられます。

100点満点は無理でも『コスト予測を元に先回りした行動をとること』でステークホルダーからも合格点くらいはもらえるんじゃないでしょうか。

②なぜコストマネジメントが必要なのか?

結論としては、全ての影響が最終的にコストに跳ね返ってくるからです。

プロジェクトに関わる変更は、全てコストとなります

例えばこんな感じです。

1.追加機能の要求に対処するため、作業工数が増えた。⇒コスト増加
2.遅れた日程を取り返すため、作業員を増やした。⇒コスト増加
3.本社への報告会議で出張ができた。⇒コスト増加

経験上、プロジェクト途中の変更でコストが減るということは非常に稀で、多くの場合がコスト増加に直結します。

どんなに根拠を決めてコストを作成し、多少のコンティジェンシーを用意していても、初期段階で作られる予算には不確実性が多いのが現実です。

はっきり言うと、正確じゃないということですね

計画が進行してくると概要が詳細化され、確定項目が増えてくるので不確実性がどんどん排除されていきます。

それにともなってかかるコストも正確になってきますので『事前に決めた予算でコントロールできるのか、追加の変更がないか』といった綿密なモニタリングがどうしても必要です。

概算が正確なコストへとどんどん精査されていくので、計画の進み具合に合わせて常にコストマネジメントが必要になってくる、ということですね。

③コスト管理成功への具体的な方法【経験談】

『じゃあどうすればコストマネジメントが失敗しないか?』についてですが、私の経験から以下が結論です。

ポイント

1.タスクは漏れなくすべて書き出す
2.コスト(事前・将来)見積りはリスク想定を行う
3.ステークホルダーと十分なコミュニケーションを取る

では、一つづつ説明します。

1.タスクは漏れなくすべて書き出す

作業タスクに漏れがあっては、そもそもの見積する額が少なくなる(=予算不足)ためです。

どんなに細心の注意を払ってコスト管理しても、少なすぎる予算でプロジェクトを成功させるのはベテランでも至難の業です。

作業タスクの洗い出しでは『あるかないかまだわからないようなモノでも想定される全ての項目』を書き出しましょう。

このくらいは書かなくても良いか?は厳禁ですよ

会議費、出張費、接待費、イベント費などなど作業に直接関係なくても『計画中に想定されることはどんなこと』でも必ず書き出してください。

あとから『何をプロジェクト予算で計上するように言われるか』わからないですからね

プロジェクトのアウトプットに関連しないようなタスクが抜けがちですので、全体を俯瞰してみて何が必要なのか検討してみてくださいね。

2.コスト(事前・将来)見積りはリスク想定を行う

タスク漏れにも関連しますが『コストの想定が甘い場合も予算を少なめに見積してしまう原因』になります。

ここでは特に『リスクの想定』について注意するようにお願いします

過去の事例や専門家の意見を参考に発生しそうなトラブルのリスクを想定して、対処するためのコストを予算として準備してください。

リスクによる影響・発生確率が小さく対応費用も少額であれば、積極的に対処せずコンティジェンシー費用で受容しても良いですが、もし発生確率が中程度以上の場合には影響が小さくても確実に予算化しましょう。

少額の対処費でも数が増えてくると、ボディーブローのように確実に予算を削ることになり予算不足を引き起こす要因になりかねません。

タスク漏れに近いアドバイスですが『リスクを甘く考えずに着実に対策を打っておくこと』も成功への近道です。

3.ステークホルダーと十分なコミュニケーションを取る

プロジェクト全体のために言えることですが、『ステークホルダーとは日頃から十分にコミュニケーションを取る』ように心がけてください。

ステークホルダーは、ネガティブサプライズを嫌います

ネガティブサプライズは、『寝耳に水』というような急に悪い状況を知らされる事ですね

品質が悪かった、スケジュールが遅れた、人員が足りなくなったなど、唐突に「でした」というような過去形のネガティブな報告にステークホルダーは驚き、あなたやプロジェクト状況に悪い印象を与えてしまいます。

悪い印象を持たれると、何がコストマネジメントにいけないのか?

それはズバリ、予算の追加をお願いしづらくなるということです。

どんなに入念にコスト監視をしていても、避けられぬ理由で予算が不足することがプロジェクトではあります。

そんな場合には、コストが増えてしまった理由やどのくらいの資源が追加でいるのかを説明し、追加予算をステークホルダーに承認してもらう必要が出てきます。

ステークホルダーに悪い印象を持たれていると、資源や予算の追加といったお願いがしづらくなりますし、承認を取り付けるのも労力のいる作業になってしまいます。

その対策としては、日頃からプロジェクトの状況を包み隠さず報告し、トラブルが発生した場合に予想されるリスクなどをステークホルダーと共有しておくことが大切です。

毎週レポートを提出する、定期的に電話や面談で会話を心がける、距離的に可能であればコーヒー休憩で雑談する機会を作れるとなお良いですね

十分なコミュニケーションが取れると、もし本当に追加予算がいるというような状況に陥ってもネガティブサプライズを避けることができ、ステークホルダーとの協議を有利に進められます。

追加予算がもらえないと、プロジェクトが失敗する可能性が高くなりますね

当初予算内でプロジェクトが完了できればそれに越したことはありません。ですが、どんなに頑張っていても予算不足となってしまう場合もあります。

そんなときに追加予算がスムーズに確保できるかどうかはプロマネに取って死活問題です。

ステークホルダーとの十分なコミュニケーションは、プロジェクト成功の可能性を高めるということがわかっていただけたと思います。

まとめ

本記事の内容

①プロジェクトでのコストマネジメントとは?
②なぜコストマネジメントが必要なのか?
③コスト管理成功への具体的な方法【経験談】

今回は、コストマネジメントについてお話しました。

日常生活と同じように、仕事でも何をするにもお金がかかります。

プロジェクト成功のためには、お金の管理がもっとも難しいと断言できます。

今回は、私の経験をもとに成功への具体的なポイントもシェアしました。

参考にしていただけると幸いです。

それでは、今回は以上です。

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