こんにちは、MARCUS(マーカス)です。
「ビジネス・ケースってなに?」「具体的に何が書いてあるの?」「なんでそんなに重要なの?」
そんなあなたの質問に、お答えます。
本記事の内容
その①ビジネスケースとは?
その②ビジネスケースの内容や作成手順
その③ビジネスケースがプロジェクト成功の指標?
プロジェクトの背景、目的となるのが「ビジネスケース」です。
目的ということは「プロジェクト成功の指標」ですので、チームやプロマネは、常にビジネスケースを意識しながら作業を進めなければなりません。
今回は、そんな超重要知識「ビジネスケース」について説明します
読み終えれば、「プロジェクトの道標、ビジネスケース」がわかるようになると思いますよ。
プロマネ歴12年でPMPのわたしが、書いていきます。
それでは、見ていきましょう。
目次
ビジネスケースとは?
ビジネスケースは、「プロジェクトに投資する価値があるかどうか」を決めるために作られる文書です。
一言でいうと、「プレゼン資料」「企画書」ですね
なぜプロジェクトをするのかという動機や目的、また、投資から予測される利益を記載し、投資の正当性を証明する資料になります。
人やものに投資をしても、その見返りとして会社や組織の利益につながらなければ、お金を使う意味がありませんからね。
ビジネスケースには、「ビジネスニーズの記述」と「費用便益分析」が記載されることが、ほとんどです。
✓ビジネスニーズの記述
以下のようなニーズが動機になります。
・市場のニーズ(例:ガソリン不足に対して低燃費車の開発)
・組織のニーズ(例:プロセスを合理化してコスト削減)
・顧客の要求(例:電力会社が新工業団地向けの変電所建設)
・技術の進歩(例:紙チケットを電子チケットに移行する)
・法的要件(例:新しい有毒物質の取り扱いガイドラインを策定)
・生態系への影響(例:環境への影響を緩和するためのプロジェクト)
・社会的なニーズ(例:発展途上国への技術支援プロジェクト)
「必要は発明の母」のことわざでもあるように、プロジェクトが実行されるためには、そこに必ず「需要やニーズ」があります。
そのニーズが「プロジェクトの目的」となり、「成功の判断基準やチームに大方針を示す道標」にもなりますので、重要な情報です。
✓費用便益分析(Cost Benefit Analysis)
俗に言う「投資対効果」が書かれた資料で、投資に対する経済的価値について検討します。
実際には少し複雑な計算が必要ですが、超ざっくりで例えると。
工場で生産プロセス改善のために「1000万円の投資」をした場合、「月20万円」のコスト削減(効果)があるとします。
その場合、投資したお金を回収するには、「1000万円÷20万円/月」で「合計50ヶ月(2年2ヶ月)の期間」が必要になる計算です。
各会社や組織での社内基準をベースに、50ヶ月という回収期間が「投資をする価値があるかどうかを決める」判断材料とします。
現実的には、金利や貨幣価値なども考慮しながら経済的価値を計算しますので、もう少し複雑な計算が必要になってきますが考え方としては上記の通りです。
✓プロジェクトの源泉は、ビジネスケース
会社や組織の目的は、最小の投資で最大の効果を得ることです。
ですので、ビジネスケースを元に発足されるプロジェクトでは「常にその背景を意識して作業にあたること」が重要です。
複数フェーズのプロジェクトの場合には、より確実にビジネス上の効果を実現する方向に進めるために、ビジネスケースを定期的にレビューすることが必要になってくるでしょう。
プロジェクトマネージャーは、ビジネスケースの定義に基づき、組織の目標とステークホルダーの要求事項を効果的かつ効率的に満たしているかを確認することも求められます
ビジネスケースのニーズを満たして、「プロジェクトは成功と判断される」ということを忘れないことが大切ですね。
ビジネスケースの内容や作成手順
ビジネスケースは、プロジェクトの結果を目標と比較することによって「成功判断と進捗状況を測定するための基準を定義してくれる文書」になります。
ビジネスケースを書くには、手順がありますので解説します。
ステップ①ビジネスニーズの定義
ステップ②現在の状況分析
ステップ③実行するプロジェクトの推奨
ステップ④ベネフィットの評価計画
✓ビジネスニーズの定義
プロジェクトが必要になる「ビジネス上のニーズ」のことです。
「ステークホルダーやスコープの特定」といった情報を書くとよりベターです。
プロジェクト発足の「なぜ?」に相当する部分で「行動の動機」です
ただニーズがあるからプロジェクトを提案するだけでなく、それによってどのような効果があって、誰に影響するのかなどを「5W1H」で総括的に検討すると、より良い文書になります。
何事にも、動機は重要です。
投資の動機や理由があいまいだと、未承認プロジェクトのなる可能性大ですので「会社や組織にとって魅力的な企画」になるようにしましょう。
✓現在の状況分析
ニーズを元に「あるべき姿」を決め、「現状との比較」をすることで「改善が必要な課題」を深堀りするプロセスです。
具体的な内容は、以下の通り。
①会社や組織の戦略、目的、目標の特定
②問題の根本原因や好機の主要な要因の特定
③プロジェクトに必要な能力と既存能力とのギャップ分析
④リスクの特定とその対策案
⑤重要な成功要因の特定
⑥行動評価の判断基準の特定
目的を達成するためには「どのような状態が理想なのか?現実はどうなのか?何が課題なのか?」を総合的にリストアップすることになります。
ここで項目に漏れがあると、プロジェクト完了後に予定していたコスト削減効果がでなかったというようなことになります。
専門家や知見がある人の意見も参考にしながら、漏れのない現状把握が求められますので、注意しながら進めるようにしてください。
次に、それぞれ出た課題や問題に対する「優先度評価」を行います。
・目標達成のために、対処が必ず必要な場合は「必須」
・対処をした方が良い場合は、「望ましい」
・必要不可欠でない場合は、「任意」
それぞれの対処案に対して、優先度を設定することで「効率の良い投資」を提案アピールすることができますね。
最後に、優先度をつけた対処案に「組織の取る行動の選択肢」を示します。
・何もしない:「現状維持」「不認可プロジェクト」
・最小限の作業をする:「重要な課題にだけ行動をする」
・最小限以上に行動する:「すべての課題に対して行動する」
「課題深堀り⇒優先度評価⇒行動決め」をすることで、提案するプロジェクトの内容について、目的達成のための位置づけや重要度を明確にすることができ、説得力のある文書になるでしょう。
✓実行するプロジェクトの推奨
ここでは、実行を推奨するプロジェクトの「まとめ」を書きます。
・プロジェクトの推奨選択肢の表明(なにをやるか)
・分析結果、制約・前提条件、リスク(実行の条件)
・成功の指標(数値化された目標が望ましい)
・タイムライン(マイルストーン)
「プロジェクト憲章」をイメージして、提案をまとめるようにするとプロジェクト立ち上げ時の憲章作成時に必要な情報が網羅されますので、あとで楽になります。
プロジェクト憲章の書き方については、こちらの関連記事で書いています。
合わせて参考にしてください。
プロジェクト憲章とは?【その目的と内容をわかりやすく説明】
✓ベネフィットの評価計画
最後に、「得られる効果(利益)を測定するための計画」を作成します。
「継続的に」運用状況が確認できる項目を含めるようにしてください。
プロジェクトは目標を達成すれば、そこで完了となりますがビジネス事業は何年にも渡って継続されます
3年かかって投資を回収する計画の場合、完了直後は目論見効果が出ていたが、1年後には効果が半減していたなんてことがあってはいけません。
あくまでもビジネスケースで期待した効果が継続されて、はじめてプロジェクトが成功したと評価されることを理解しておくことが大切ですね。
ビジネスケースが「プロジェクト成功の指標?」
プロジェクトの成功かの判断に、「ビジネスケースの達成が追加されること」があります。
プロジェクトの目標は、QCD(品質、コスト、納期)という評価尺度が成功の指標として重要な要素になることが多いです。
ですが、ステークホルダーは人によっていろいろな考えを持っているので、会社や組織の運営に責任を持つような役職の人ほど、QCDといった細かい数値目標ではなく、実際の事業への利益を重視することがほとんどです。
稀ですが、QCD目標を達成しても事業への効果(利益)が当初の予定を達成できなかったために、プロジェクトは失敗だったというような評価を受ける可能性もあります
しかし、プロジェクトマネージャーとしては、QCDの成果でしか結果を示すことはできませんので、「数値で測定可能な目標を選択すること」が非常に重要になります。
・プロジェクトの成功とはなにか?
・成功はどのように測定されるのか?
・どのような要因が成功に影響するのか?
これらの問いに対する答えを文書化し「ステークホルダーとプロジェクトマネージャーが事前に同意すること」が必須になってきます。
プロジェクトの目標設定を間違うと、ビジネスへの効果は期待できません
ですので、ビジネスケースの目的を達成するために「適切なプロジェクト目標を設定する」ということが、とても大切なことになるということです。
まとめ ビジネスケースとは?
ポイント
その①ビジネスケースとは?
その②ビジネスケースの内容や作成手順
その③ビジネスケースがプロジェクト成功の指標?
今回は、ビジネスケースについてご紹介しました。
最近ではビジネスケースの作成から、プロマネが計画に参加することも珍しくなくなってきました。
プロジェクト発足の前提となるビジネスケースの意味や書き方をよく理解して、「視野の広げて作業にあたることが【成功の秘訣】の一つ」ですよ。
それでは、今回は以上です。