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ライフサイクルマネジメントとは?|賢い節約術です

こんにちは、MARCUS(マーカス)です。

「ライフサイクルマネジメントってなんですか?」「どうして必要なんですか?」「なにか良いことある?」

そんなあなたの質問に、お答えます。

本記事の内容

その①ライフサイクルマネジメント(LCM)とは?
その②良いものを長く、日本式価値観の時代
その③節約だけじゃない!将来の子どもたちのためのLCM

今回は、「ライフサイクルマネジメント」についてご紹介します。

読み終えれば、「お金節約と環境に優しい考え方がいっしょに身について一石二鳥」ですよ。

それでは、建築系プロマネのわたしが書いていきます。

その①ライフサイクルマネジメント(LCM)とは?

結論ですが、ライフサイクルマネジメントは「あるものの始まりから消えて無くなる終わりまでのすべてを事前に計画、管理する考え方」です。

こちらの記事で「ライフサイクル」について詳しく解説しています。
ライフサイクルとは?|最小の労力で最高の結果を得る!

ライフサイクルは「ものの生涯」、マネジメントは「管理」という意味ですので、「ものの生涯を事前に計画管理する」ということになりますね。

最近では、いろいろな業界でライフサイクルマネジメントの考え方が用いられていますが、もっとも活発に議論されている業界の一つがわたしも仕事をしている「建設業界」です。

建設業界でのライフサイクルマネジメント

ライフサイクルマネジメント【LCM:Life Cycle Management】

ファシリティの企画段階から、設計・建設・運営そして解体までのファシリティの生涯に着目して計画、管理を行なう考え方。ファシリティに依存する効用の最大化、ライフサイクルコストの最適化、資源やエネルギー消費・環境負荷の最小化、障害や災害のリスクの最小化を目標とする。例えば、施設を建替えずに改修しながら使用し続ければ、建替え時の解体費用と新設費用が節約できることに加え、それらに係る二酸化炭素排出量も大きく削減可能で、地球温暖化に大きく貢献することになる。このような観点からも、施設の生涯にわたる効用・損失を最大化するためには、施設の長寿命化は不可欠であり、大幅な用途の変更が必要になる場合もある。

(日本ファシリティマネジメント推進協会:FMガイドブック参照)

一度建てた建物の寿命は、30~50年になりますので、その生涯でかかる費用を低減することは、ビジネスの成功に直結します。

せっかく安く建てられた建物でも、その後のメンテナンス費や運営費に多くの費用がかかっては、建物の生涯コストは莫大な金額になります。

一般的に運営費は、初期投資費用のおよそ3~4倍かかると言われている

建物のライフサイクルマネジメントには、初期の建設費用や工事後の運営維持費、最後にかかる建物解体費などの「全ての費用(ライフサイクルコスト)の最適化」がもっとも重要です。

こちらの記事で「ライフサイクルコスト」について解説していますので、どうぞ!
ライフサイクルコストとは?|賢い買い物の秘訣ですね

とにかく安い材料や機器を使って、運営費やメンテナンス費が高くなったとしても初期の建築費用をできるだけ安くをおさえるのか。

それとも建築費用はやや高くなっても、長期使える信頼性のある材料やユーティリティ費の節約を事前に検討して、将来かかる運営管理費をなるべく安くおさえ、建物の寿命を延ばし、解体・建て替え費をおさえるのか。

売上目標や利益予想から、建物の用途や使用したい年数を算出し、投資効果を最大化する計画を立てることがビジネスの成功につながります。

ライフサイクルマネジメントでは、「ライフサイクルコストの最適化」が重要

「コスト=固定費」ですので、固定費をできるだけ安くおさえることが利益の最大化にはとても有効なためです。

それらを「建設前に計画、管理することがライフサイクルマネジメント」であり、コストを最小化し利益を最大化することによって、ビジネス成功の鍵になる考え方ということです。

その②良いものを長く、日本式価値観の時代

ライフサイクルマネジメントの考え方が注目されはじめてから、「良いものを長く使おうという日本式の価値観」が見直されています。

最近では、資源の有効利用や環境問題への対応など「コンプライアンス活動への企業の取り組み」が重要視されています

「利益を上げる企業活動」「環境への配慮」も同時に両立するということが注目されており、「大量消費・使い捨て」から「延命・再利用」へと風潮が変わりつつあります。

では具体的に、どのような対策が取られているのかについて、建物のライフサイクルマネジメントを例にご説明します。

建物で検討するのは、「メンテナンス費とユーティリティ費の節約」になります。

建物長寿命化(メンテナンス費低減)
①長寿命・高耐久の材料、機器を採用
②老朽化が進む外装材は耐候性のものを採用
③設備工事に使用する材料は耐久性のあるものの使用
④容易に更新や修繕できる仕様を検討・採用
⑤内装材は劣化しにくく、更新の容易な材料を採用
⑥日常の清掃が容易にできる材料を採用

運営費低減(ユーティリティ費低減)
①電気代、水道代の低減を検討(太陽光発電など)
②断熱仕様を検討(外断熱や高断熱材など)
③安価な深夜電力の利用を検討
④照明消し忘れ防止の人感センサースイッチを検討
⑤地下水や雨水の利用を検討
⑥高効率機器の採用(エアコン、LED照明など)

繰り返しになりますが、建物の生涯コストでは「運営管理費は初期費用に比べ、3~4倍になる」を言われています

一見すると、高耐久性の材料や高効率機器などを採用すると建築費の初期費用が高くなり、その後のビジネスに影響を与えそうに見えます。

ですが、「投資対効果」「メリット・デメリット」を以下のように検討してみます。

・増加した初期投資を運営管理費の節約により、何年で回収可能なのか。
・高耐久の建築材料で、何年建物や機器の長寿命化が見込めるのか。
・長寿命化により、節約できる解体費、建て替え費はいくらなのか。

「イニシャルコストとランニングコストの最適解を見つけ出だす」ことです。

ただ安く建物を建てて、だめになったらすぐに建て替えるというだけでは、ライフサイクルコストがかかりビジネスの成功確率が下がります。

多少お金がかかっても良い材料を使って長く使える建物を建てて、あとでかかるメンテナンス費用を抑える方が得だということです。

ですので、「修理しながらでも、良いものを長く使う昔ながらの日本式の価値観」が企業活動でも見直されているということではないでしょうか。

その③節約だけじゃない!将来の子どもたちのためのLCM

良いものを長く使うと、ビジネスへのメリットと同時に「CO2ガス削減などの環境対策にもつながり、一石二鳥」です。

ライフサイクルマネジメントを通して、良いものを長く使ってコストを抑えるということは、そのまま環境対策へと直結します。

コストを抑えるということは、「廃棄物の削減やエネルギー資源の節約」につながっているためです。

例えば、建物の解体や新築をへらすとCO2削減になるという例です。

・廃棄される家具や設備の処分再利用の削減
・解体されたコンクリートや鉄の処分再利用の削減
・建て替えに調達される全ての部材(生産、製作)の削減
・建設機材・重機の使用(機材材料、重機燃料)の削減

建物を解体し、建て替えるということは莫大なコストとともに、多くの資源やエネルギーを消費することになります。

事業を圧迫するだけでなく、エネルギー消費によるCO2ガス排出にもつながり、環境にも優しくありません。

建設系プロマネをしているわたしが言うのもなんですが、ライフサイクルコストの最適化という観点、また、環境対策をいう観点からみても「良い建物を長く使う」という視点が重要ですね

ライフサイクルマネジメントは、ライフサイクルコストの低減だけでなくCO2ガス削減などの環境対策にも有効です。

ですので、「ライフサイフサイクルマネジメントを行うことは、将来の子どもたちのためでもある」ということになりますね。

まとめ ライフサイクルマネジメントとは?|賢い節約術です

本記事の内容

その①ライフサイクルマネジメント(LCM)とは?
その②良いものを長く、日本式価値観の時代
その③節約だけじゃない!将来の子どもたちのためのLCM

今回は、ライフサイクルマネジメントについてご説明しました。

これからは「儲かればなんでもあり!」という企業姿勢では社会に認めてもらえない時代にどんどんなっていきます。

「コンプライアンス・社会モラル・持続性」そういった理念が企業活動だけではなく、個人や事業主一人ひとりに求められていると思います。

ライフサイクルマネジメントを通して、環境に優しい利益の追求を目指していきましょう。

それでは、今回は以上です。

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