こんにちは、MARCUS(マーカス)です。
『コストセンターって、なんのこと?』『プロフィットセンターとの違いは?』『なんか良くない意味で使われてるような気がするけど、本当のところはどうなの?』
そんなあなたの悩みにお答えます。
本記事の内容
その①コストセンターとは?
その②プロフィットセンターとの違いは?
その③コストセンターは悪なのか?
日常会話で使われる『コストセンター』は、無駄やロスなど良くない意味で使われることがほとんどです。
でも、本当にそうなんでしょうか?
私としてはお金儲けを目的とする企業や組織が、そんな無駄やロスにしかならないようなことをいつまでも放っておくとは、とても思えません
きっと『コストセンター』も何かの役に立つなくてはならない存在なのではないでしょうか?
そこで今回は、『コストセンターの本当の意味』『組織にとって悪い存在なのか?』ということについて、ご紹介します。
この記事を書いているわたしは、10年以上プロジェクトマネージャーをしています。日頃から企業経営者・幹部と話をする機会に恵まれた環境で仕事をしています。
目次
その①コストセンターとは?
コストセンターは経営学用語の一つで、企業や会社の中で『コスト(費用)は集計されるものの、利益は集計されない部門』のことです。
『業務にかかった費用だけが集計される部門』ということになります。
基本的には、単独で利益を出せない部門や部署のことですね
具体的な部門を例にすると、
①製造工場(研究設計~生産出荷まで)
②総務や経理、IT部門などの間接部門
③カスタマーサービス部門
「工場もコストセンターなの?」と疑問に思う人がいるかもしれませんね。
工場で製品を作るからこそ、売上や利益が出るように感じやすいですよね。
ですが、コストセンターか否かの基準は『その組織単独で利益が出せるのか?』という点で区別されます。
工場では「受けた注文に合わせて製品を生産する」というプロセスを繰り返しますが、これは逆を返せば、誰かがお客さんから注文を取ってこなければ、工場単独では売上や利益が確保できないということになります。
つまりは、お客さんの注文をとってくる営業がいないと、製造工場だけでは売上も上がらなければ利益も出ない、つまりは、製造工場はコストセンターに区分されるという訳です。
『コストセンターか否かは、その会社の判断による』ということが多いですが、製造工場は、コストセンターに分けられることが多いですね
コストセンターの収支は、かかった費用だけが業績として評価されるということになりますので、その活動の目標は『どれだけコストを抑えながら、与えられた成果を達成するか』ということが求められます。
自分たちでは直接利益を生み出すことができないので、少しでも費用を抑えて企業活動を行う事が目的ということが特徴の一つです。
『コスト(費用)』に責任を持つ組織ということですね
コストセンターの定義は『費用の収支が業績に反映される部門』という定義であることを覚えてください。
コスト削減を追求しすぎると、悪い面も
「良いものを安く提供する」企業間の競争を勝ち抜くためには、コスト削減はとても重要な活動の一つです。
ですが『コスト削減だけに視点』をおいて活動してしまうと、経営全体で見たときには利益を損なうようなことになることも多くあります。
例えば、あなたが工場を経営している社長だとしましょう。
コスト削減を大命題に、出来るだけ無駄を省こうと葛藤の日々です。
出来るだけ『生産ラインを停止させない、品質ロスが出さない、効率を極限まで上げる』などの施策を繰り返し、ロスの最小化にまい進します。
その結果として、『生産プロセスはよりシンプルに、また生産が簡単な低単価なものを好んで製造する』ようになってしまう傾向があります。
コスト削減が『業績指標=自分の責任』ですから仕方がない面もあります
しかし、経営者の立場で見れば低単価品で競合と消耗しあうよりは、『多少ロスが出ても、売上や利益の拡大が望める単価の高い高機能な製品の市場を狙うべき』という可能性もあるでしょう。
コスト削減にこだわる過ぎると、『事業全体の方向性を見誤る弊害がある』ということも覚えておいてください。
その②プロフィットセンターとの違いは?
まず、プロフィットとは、英語で『利益』のことを言います。
そして、プロフィットセンターとは『売上や利益が集計される部門』のことです。
コストセンターの全く逆の部署や部門のことですね
代表的な部門としては、
①営業部門
②マーケティング部門
③経営企画部門など
プロフィットセンターは『売上や利益の確保に責任を持つ部門』のことで、彼らの日々の仕事の結果が、そのまま会社の業績に直結します。
プロフィットセンターの弱点って?
大きく2点あります。
①売上や利益の大きな仕事に偏りがち
②売上利益至上主義でコスト感覚が鈍い
売上を上げることに責任を持つ部門ですので、どうしても大きな仕事に偏りがちで小さな案件などは疎かにされがちになります。
限られた資源で最大限の売り上げを確保するためには、当然といえば当然のことなんですが、そのような態度やレスポンスが時には顧客からのクレームにつながったりします。
初めは小口だった顧客が、何年かするうちに大口顧客に変わるなんてことは珍しくありませんので、出来るだけ小口案件からのクレームは少なくしておきたいものです
また、プロフィットセンターでは売上を追いかけるあまり『コスト感覚が鈍くなりがち』という弱点もあります。
顧客の機嫌を取るために出張や接待を繰り返してみたり、電車で帰れるところをタクシーを使って経費精算する、なんてことが見受けられます。
カラ出張で旅費着服なんかは、コスト感覚の前に犯罪ですね
最近では、多くの会社で経費管理を厳格化にしていますので、そのような例はだいぶ減ったとは思いますが『コストセンターのスタッフと比べるとプロフィットセンターのスタッフのコスト感覚はまだまだ鈍い』と言わざる得ないというところでしょう。
コストセンターとプロフィットセンターの違い
コストセンターとプロフィットセンターの違いは、以下の通り。
①何に責任を持つか『コスト(費用)か利益(売上)』
②お客さんと接して製品(物)を売るか、否か
ことばの定義の違いとして、以下を説明しました。
参考
・『コスト(費用)』に責任をもつコストセンター
・『利益(売上)』に責任をもつプロフィットセンター
ですが、具体的に仕事での違いを考えるとどうでしょうか?
両者の違いを一言でまとめると『お客さんに直接的に製品(もの)を売ることを目標としているかどうか』に尽きます。
『マーケティング部門が市場という顧客を調査し、経営戦略部門が商品を売るための戦略を立て、営業部門が顧客に商品を売る』
この一連の流れに関連する部署や部門が、『プロフィットセンター』と呼ばれます。
つまりは、『商品を売る』という行為に対して仕事をしている部門やスタッフがプロフィットセンターということになりますね。
逆に言うと、売上を作るというプロセスに直接関係しない部門が『コストセンター』というが言えます。
こう考えると、定義だけでは自分の仕事をしている部門がどちらかわからなった人でも、自分事として理解することができますよね。
その③コストセンターは悪なのか?
結論から言うと、『コストセンターは悪ではありません!』
会社運営のためには、むしろ無くてはならない存在(部門)!
具体的な例として、以下のような場合です。
①コストセンターがいなければ、売るもの(商品)がない
②コストセンターで、利益は最大化される
そもそも、コストセンターと呼ばれる『設計、製造、品質保証、出荷』などのオペレーション部門がなければ、商品(売るもの)が作れません。
注文を取る営業こそが正義みたいな雰囲気ありませんか?⇒大きな間違いです!
どんなに営業部門が優秀でどんどん注文を取ってきても、製品を生産して提供するコストセンターがいなければ、売上にはつながりません。
当たり前なことなのですが、忘れられがちですよね。
『プロフィットセンターが商品を売り、コストセンターが生産して、顧客に無事に届ける。』
コストセンターのオペレーションが無くては、ビジネスは成立しません。
ですので、『コストセンターは全くの悪ではなく、事業運営のためにはなくてはならない』ということになりますね。
もう一点は、コストセンターで『利益は最大化される』という点です。
会社の利益は売上から材料費や人件費など販売に必要な全てのコストを差し引いて、最後に残る『営業利益』です。
売上があっても、それを販売するためのコストが多くかかっては『会社の利益=営業利益』が減ってしまいます。
この時、活躍してくれるのが『コストセンター』です
コストセンターはコスト削減に責任をおっていますので、日々無駄を少しでも減らそうと涙ぐましい努力をしています。
製造部門では材料ロスを減らし、事務部門では紙の無駄使いを削減し、経理部門では、経費の無駄使いに目を光らせます。
こういった地道なコスト管理の繰り返しで、少しづつ無駄が減り利益が増えていきます。
【売上ーコスト=利益】ですので、コストが減るということは営業利益が増えることになり会社にとっての利益が最大化されます。
この利益を最大化するという活動は、コストセンターによって促進されます。
このようなことからも、コストセンターは決して悪ではなく企業活動にはかかせない部署や部門であることがわかったのではないでしょうか。
まとめ
本記事の内容
その①コストセンターとは?
その②プロフィットセンターとの違いは?
その③コストセンターは悪なのか?
今回は、『コストセンター』についてご紹介しました。
『コストセンターのプロフィットセンター化』ということがネットや書籍でよく議論されていますが、私自身は必要のない議論だと思っています。
それぞれのセンターには責任や役割があり、目標に向かって日々の活動にまい進していれば、それだけで十分です
ただ注意したい方が良い点としては、自部門だけの殻にこもって狭い視点で活動するのではなく『経営者の方針や他部門との連携を図り、柔軟に仕事の優先順位を見直していくこと』が必要です。
全体での進む方向が明確になった時には、あとはコストセンターはコスト削減、プロフィットセンターは売上の最大化、それぞれがそれぞれの目標達成に向かって切磋琢磨すれば、必ず良い相乗効果が得られることでしょう。
それでは、今回は以上です。