こんにちは。MARCUS(マーカス)です。
『品質っていうけど、その本当の意味は?』『なんで品質が良くなければいけないの?』『品質と等級の違いって何?』
今回は、そんなあなたのご質問にお答えします。
本記事の内容
その① 品質とは?その意味や定義
その② なぜ品質が良くなければいけないのか?
その③ プロジェクトマネジメントでの品質と等級とは?
当たり前のように使っている言葉に限って、いざ意味を聞かれたり説明を求められると言葉に詰まったり答えられなかったりしますよね。
そこで今回は、仕事でもプライベートでも何気なく使っている『品質』という言葉について深堀してみたいと思います。
この記事は、15年以上建設系プロマネで日常的に品質管理をしている私(@PMP)が書いていきます。
記事を読み終えれば『品質の定義やなぜ品質が悪いことがなぜいけないのか?』ということが説明できるようになると思いますよ。
それでは、記事を見ていきましょう。
目次
その① 品質とは?その意味や定義
それではまず『品質』という言葉の定義・意味から見てみましょう。
本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度
ISO9001(品質)
世界の品質マネージメント規格を定める『品質マネジメント規格(ISO9001)』では『品質とは要求事項を満たす程度』と規定しています。
少しわかりにくい表現ですので、もう少し噛み砕いてみると『品質とは、お客さんの期待しているコトを満たした程度』とも表現できます。
『相手の期待しているコト・モノ・サービスに対してどの程度その要望に答えることが出来たのか』ということですね。
事例で見てみましょう。
例えば、『高級中華が食べたい』と期待している人に【ミシュランのふかひれ専門店】を紹介した場合、相手の反応はどうでしょうか?
格式高い雰囲気と洗練された味に期待通りの素晴らしい食事だったと喜び『高品質の食事』と評価するのではないでしょうか。
では、同じように高級中華を期待する人に『TVや雑誌でもおいしいと評判の町中華のお店』を紹介した場合はどうでしょう。
料理の味自体は評判通りでおいしいと感じるかもしれませんが、期待していた高級な雰囲気やサービスとはほど遠く、満足できるものではないかもしれません。
町中華を期待していた人からすれば期待通りの『高品質な食事』となる場合でも、高級中華を期待していた人にとっては『低品質な満足できないモノ』となりかねないですね。
ここからわかることは『お客さんの要求事項(期待しているコト)をどの程度満たしたか』が品質の評価に大きく影響するということ
『品質とは相手から要求される(期待している)ことを満した程度』であり、その満たした程度によって良い悪いが判断されるということです。
でも、品質が良いって言うのは『高級なモノや上等なモノ』だったらなんでもいいんじゃないの?
そうなんです、品質という言葉の定義はいまご説明した通りですが、日常で使われる品質という言葉にはもう一つの使われ方があります。
【クオリティ】は高級・上等が良いという使われ方
品質の定義についてお話しましたが、同じ品質という意味の単語でも英語での『クオリティ(Quality)』は少し違うニュアンスで使われます。
クオリティが高いというと相手の期待に答えるというよりも『高級・上等・値段が高い方が良い』という判断基準で使われることが多い様に感じます。
「この高級時計は値段も高く繊細な作り。壊れやすいかもしれないが、細部の作り込みが精密でクオリティが高い」
どの程度の値段や使いやすさを期待しているのかにかかわらず『高級で値段が高いがそれに見合う価値がある』といった意味での使われ方です。
品質の言葉の定義から言いますと『本来の品質の良し悪しは、あなたの要求(期待)次第』です。
『安くて丈夫、時間さえわかれば良い』という期待値であれば、どんなに『クオリティの高い高級時計』を勧められても何の価値も感じません。
もちろん、あなたの期待した値段で思っていたよりも上等なモノが提供されれば、それはそれで『あなたにとっての高品質』となります。
しかし、同義語のクオリティの一般的な使われ方は『高級・上等・こだわって作られたモノが良いモノ』として評価されています。
クオリティという言葉を使う場合、モノの購入価格や歴史的・芸術的価値と言った第三者から見てもわかりやすい評価基準によって良し悪しが決められていると覚えてください。
こ言葉の使われ方から『あなたの期待に答える品質』と『高級・上等が判断基準のクオリティ』が混同されてしまっているのだと思います。
品質不足や過剰品質になることなく、相手の期待に答えるモノを提供することが仕事をするうえでの品質管理の基本です。
あくまでも相手の思っている条件の中で期待以上のコト・モノ・サービスが提供されたときに『高品質と評価される』ということをよく理解してくださいね。
その② なぜ品質が良くなければいけないのか?
一言でいえば、『品質の良し悪しがその後のビジネスに大きく影響する』からです。
同じ金額を払うのであれば自分が満足できるモノやサービスを得たいと思うのは、誰にでもある欲求でしょう。
顧客の満足度を高めることは、そのままその個人や企業の信頼へとつながり、今後も同じ商品を買おうとするのが消費者心理です。
顧客のニーズをよく理解して、それに見合った商品・サービスを提供する。(≒品質の良いモノを提供する)
そうすることで顧客からの信頼を勝ち取り、次回からもモノやサービスを買ってもらえるということにつながります。
じゃあ、コストをかけて高品質・高価格の製品を作った方が良いっていうこと?
消耗品のような小物であれば、長く使えなくても出来るだけ安い方が良い、安かろう悪かろうが顧客のニーズという場合もあります。
その場合、生産者側のエゴで長く使える耐久性のある高額なプレミアム製品を作りよりは、顧客ニーズに合わせて多少耐久性が悪くても価格をなるべく抑えた商品を提供した方が顧客のニーズにあった品質の良いモノを提供しているということになります。
100円ショップなんかが良い例でしょうね
あなたの技術やスキルというファクターよりも『顧客のニーズを徹底的に把握するということが品質の良いモノを提供する近道』であるということが言えます。
その③ 品質と等級の違いとは?
『等級』という概念を一緒に考えるとよりわかりやすいので解説します。
品質と等級とは、同じ概念ではない。品質とは要求されたパフォーマンスや結果であり、『本来備わっている特性の集まりが要求事項を満たす程度』のことをいう。等級とは、設計上で意図されるものであり、同一の用途であっても技術的特性が異なる成果物に定めた区分のことをいう。
PMBOK第六版 品質マネージメントより
品質とは『作業を通りして得られた成果物の結果』のことで、明らかな欠陥があるとかないとかと言ったパフォーマンスのことになります。
一方、等級とは『機能が高い・低い、多い・少ないと言ったそのモノやサービスに要求された特性』を指します。
要求されたことを満たさない品質レベルは問題になることが多いですが、等級の低いモノや製品が問題になるとは限りません。
・機能が少く安いスマホ(等級が低い)であっても、品質が良く明らかな欠陥がない場合は問題にならない。(顧客のニーズに合っている)
・機能が多く高額なスマホ(等級が高い)で品質が低く結果が多いと、顧客からのクレームにつながる。(ニーズに合っていない)
同じスマホを使うにしても求められる機能は、購入する顧客によって違います。
より売れるもの、満足してもらえるモノを作りたいと、ただいろいろな機能やオプションがついたモノやサービスを提供すれば良いということではありません。
顧客のほしい機能・ニーズをよく把握して『要求されるレベルの品質と等級を実現するためのトレードオフ』をマネジメントすることが大切です。
等級に低い安いスマホでも何年もトラブルなく使うことができれば、それを望む顧客にとっては品質の良い製品となります。
いつでも顧客は、壊れない・トラブらない・不具合が出ないパフォーマンスや結果を望んでいます。
そういう意味では、品質の良い悪いは『許されたコストや予算の中でどれだけ故障や不具合の無い結果を提供できるか』によって判断されるということですね。
まとめ
本記事の内容
その① 品質とは?その意味や定義
その② なぜ品質が良くなければいけないのか?
その③ プロジェクトマネジメントでの品質と等級とは?
今回は、『品質の意味や定義』について記事にしました。
結論としては、高機能・低機能という等級には関わらず、故障しない・トラブらないという結果が品質が良いモノやサービスだということです。
それが顧客のニーズにあった高い満足度につながり、その後のビジネスにつながります。
ここまで聞くと全て当たり前のように聞こえますが、いざ聞かれるとなかなか答えられないもんですよね。
それでは、今回は以上です。