こんにちは、MARCUS(マーカス)です。
『PMBOKって、具体的にどういうものなの?』
『みんな使っているっていうけど、何が良いの?』
『実際にビジネスでは、どう活用できるの?』
そんなあなたの悩みに、お答えします。
本記事の内容
その① PMBOKとはどういったものかを理解しましょう
その② PMBOKの特徴や優れた点をご説明します
その③ PMBOKを活用方法と注意点
今回は、PMBOKについてご紹介します。
PMBOKは、プロジェクトマネージメントで必ず聞く言葉の1つです。
内容や活用法を学習して、業界必須のスキルをキチンと身につけておくようにしましょう。
読み終えれば、手法やツールを活用して、ビジネスで成果を上げられるようになると思いますよ。
プロマネ歴12年でPMPのわたしが、書いていきます。
それでは、ご説明します。
目次
PMBOKとはどういったものかを理解しましょう
PMBOKとは『Project Management Board Of Knowledge』の略で、プロジェクトマネージメントの知識体系をまとめたガイドブックです。
PMBOK:「ピンボク」か「ピンボック」と発音します
PMIがプロジェクト管理に関する経験や教訓を、手法や知識として体系立ててまとめたものです。
プロジェクトを5つのプロセスと10の知識エリアに分類して、進行に合わせてどのようなことを管理すべきかということを示しています。
どちらかというと、ガイド本というよりは「辞書」に近い
1987年に第1版が発行され、ほぼ4年に一度改訂されています。
現在は、2017年に発行された第6版が最新です。
プロジェクト管理に関する教訓は年々蓄積され、改訂されるたびにプロジェクトを成功に近づけるための「考え方や心構え」が更新されます。
今ではプロジェクトマネジメントの世界標準として各国に浸透し、プロジェクトマネージャーの共通言語として使用されています。
ですので、プロジェクトの仕事では必須のガイド本です。
✓ PMIとは?
1969年に設立されたアメリカの非営利団体「Project Management Institute」の略称です。
PMBOKやPMP資格認定の運営団体として国際的に有名で、40万人以上の会員数を誇り、世界で最も影響力のあるPM関連団体でもあります。
日本では1998年に「PMI日本支部」が設立され、約5000人の会員がいます。
プロジェクトマネージメント・プロフェッショナル(PMP)の資格者にメリットが多いため、会員登録することが多く、わたしもPMI会員です。
最新のPMBOKが無料ダウンロードできたり、各種統計データや資料テンプレートの入手、PMP受験費用や資格更新費の割引などの特典があります。
ただし、年会費がかかりますので、必要なら各人で検討することをオススメします。
PMBOKの優れた点
結論ですが、PMBOKの優れている点は以下の2点です。
①プロジェクト管理手法を世界ではじめて体系化した
②「プロセスを管理する」ということに着目した
✓ プロジェクト管理手法を世界ではじめて体系化した
PMBOKが、プロジェクト管理技術を大きく発展させる礎になりました。
なぜなら「各個人の解釈」でバラバラだったプロジェクト管理の手法に「明確な答えや方針」を示したからです。
例えば、PMBOKではプロジェクトの進捗に合わせて管理すべき項目を整理し規定していますが、それ以前のプロジェクトでは、管理手法については各人の経験やイメージによって行われていました。
コストを優先する人もいれば、スケジュールを優先する人もいました。
プロジェクトの管理に対して、明確な答えがない状態です。
各個人の裁量に依存していたプロジェクト管理の手法を、体系立てて整理したPMBOKは、「プロジェクト成功の確率を上げること」に大きく貢献しました。
✓「プロセスを管理する」ということに着目した
もう1つは、プロジェクトの各プロセスを管理することに着目した点です。
従来は、プロジェクトの最終目標となるQuality(品質)・Cost(原価)・Delivery(納期)だけを管理することが中心でしたが、それだけではうまくいかないことを明確にしたのです。
QCD目標を達成するため、他のプロセス管理の重要性を説明しています。
例えば、「スコープ・資源・リスク・ステークホルダー」といった他のプロセスも管理対象とし、統合・コントロールすることで最終目標を達成できるとしています。
今では当たり前となっている「コミュニケーションをコントロールすること」の重要性なども、PMBOKがはじめて定義しました。
PMBOK手法の特徴
PMBOKの特徴でもあり、その全てと言っても良い内容は、
- プロジェクトを「5つのプロセス」に分類している
- それぞれのプロセスで管理する「10の知識エリア」を示している
- 知識エリアでは、「3つの手順」で手法を説明している
というところです。
プロジェクト管理の心構えや注意点も説明していますが、知識・ノウハウの一覧表化とその手順説明がPMBOKの全てと言えます。
✓ プロジェクトを5つのプロセスに分けている
作業の「始まりから終わり」までを
①立上げプロセス群(計画の正式認可)
②計画プロセス群(詳細計画・計画書作成)
③実行プロセス群(計画書の実行)
④監視コントロールプロセス群(評価・変更)
⑤終結プロセス群(作業の終了・解散)
に分けて、定義しています。
ですので、PMBOKを活用するときには作業の進捗に合わせて、対象となるプロセス群の手法のみを確認すれば良いということになります。
✓ それぞれのプロセスで管理する10の知識エリアを示している
各プロセス群の作業対象を10の知識エリアとして規定しています。
①統合マネージメント
②スコープ・マネージメント
③スケジュール・マネージメント
④コスト・マネージメント
⑤品質マネージメント
⑥資源マネージメント
⑦リスク・マネージメント
⑧コミュニケーション・マネージメント
⑨調達マネージメント
⑩ステークホルダー・マネージメント
立上げプロセス群では、「統合マネージメント→ステークホルダー・マネージメント」について作業をし、計画プロセス群では、「全ての知識エリア」で作業をするといった具合です。
これにより管理対象の漏れを減らし、トラブルを事前に防止することで、成功確率を上げることに大きく貢献しています。
✓ 知識エリアでは、3つの手順で手法を説明している
さらに各知識エリアでの作業手順を
①インプット(作業に必要な情報・書類)
②ツールと技法(作業の方法やノウハウ)
③アウトプット(作業後の成果物)
という形で明確にしています。
コスト・マネージメントの【予算の設定】を例にすると、
となります。
「インプット」で予算設定に必要な情報、「ツールと技法」で検討する手法、「アウトプット」で作成・改訂するべき資料がわかります。
ですので、各作業を始める前に何の情報が必要か迷いませんし、どういった方法で作業を進めればよいか、作成する成果物もすぐにわかります。
5つのプロセス、10の知識エリア、3つの作業手順でプロジェクト管理について体系的に網羅されたガイド本が、PMBOKです。
ただし、いつもはじめから読み返す必要がありません。
あなたがPMBOKの知識やノウハウが必要になった時に、「対象の部分だけを確認」して活用することができるようにまとめられています。
ガイド本というよりは、「辞書」としての活用がより効果的でしょう。
PMBOKを活用する時の注意点
わたしの経験から、PMBOK活用時の2つの注意点として
①PMBOKが教えてくれるのは、基礎知識だけ
②現場での活用には、独自のテンプレートや方法が必要
ということです。
ここまでご説明したようにPMBOKは、プロジェクト管理の手法やプロセスを学習し、理解するためには非常に優れたガイド本です。
しかし、建設業・IT産業・製造業などあらゆる分野で活用できるようにまとめられた知識集なので、各案件に対して具体的な方法や実践的な手段を教えてくれるものではありません。
あくまでも、マネージメントの基本知識を整理して、対象となる管理項目を見つけるという目的での活用しかできません。
ですので、それぞれの業界・プロジェクトに合わせて「現場で使える」テンプレートや手法を、各チームで作成していくことが必須です。
「プロジェクト憲章」を例に見てみます。
憲章の目的は、プロジェクトを正式に認可してもらうということです。
ですが、わたしの働いている建設業界ではお客様に提出する「見積書」や「契約書」がプロジェクト憲章の代わりとなり、「発注書」「契約書への署名」がお客様からの正式認可の代わりとなります。
「プロジェクト憲章」というPMBOKにある名称や形にこだわるのではなく、業界の通例やそれに代わる書類で機能を代替します。
見積書を作成するときに、憲章で明記されるべき内容に意識をおくことでPMBOKの知識やノウハウをうまく活用することができます。
PMBOKで整理された知恵とノウハウを習得し、現場で役立つ手法を身につましょう。
まとめ:PMBOKとは?その特徴と活用方法【注意点も教えます】
ポイント
その① PMBOKとはどういったものかを理解しましょう
その② PMBOKの特徴や優れた点をご説明します
その③ PMBOKを活用方法と注意点
今回は、PMBOKについてご紹介してきました。
PMBOKはプロジェクト管理を学習するのに、非常に優れた本です。
ただし、残念ながら原本での学習はあまりオススメしません。
PMBOK原本は、和訳されたものなので日本語の文章が難解です。
ページ数も多く、辞書として活用できる人は良いですが、そうでない初心者の人は、原本での全体の内容把握はほぼ無理でしょう。
初心者の人には、まず要約本での学習をオススメしています。
数冊ご紹介しておきますので、原本購入の前にまず読んでみてください。
参考書でプロジェクト管理全体の流れが理解できていると、原本が読めるようになります。
PMPの試験勉強でも復習に使えますので、将来のことを考えても損はしないでしょう。
プロジェクトマネージメントを習得して、ビジネスを成功させましょう。
それでは、今回は以上です。
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