こんにちは、建設系現役PMのMARCUSです
『PMOって何ですか?』
『PMOをわざわざ組織する理由はなんですか?メリットってあるんですか?』
メリット多有りです!PMO無しではむしろ大損してますよ!
最近耳にすることも増えてきたPMO。その役割やなぜプロジェクトでPMOが必要かについて現役PMがお答えします
PMOはプロジェクトの縁の下の力持ちです!
目次
PMOとは何?その役割は?
PMOは『プロジェクトマネージメントオフィス(Project Management Office)』の略です
プロジェクトマネージャー(PM)のバイブル『PMBOK』ではこのように定義されてます
プロジェクトマネージメント・オフィス(PMO)は、プロジェクトに関連するガバナンス・プロセスを標準化し、資源、方法論、ツールおよび技法の共有を促進する組織構造である。PMOの責任は、プロジェクトマネージメントの支援機能を提供することから、ひとつ以上のプロジェクトを直接マネジメントすることまで広範囲にわたる。
PMBOK 第六版
難しく書かれていますが簡単に言いますと『プロジェクトを後方支援するチーム』です
直接の責任者として一つのプロジェクトを全力で推進するのがPMですが、複数同時に進むプロジェクトを後方から支援するのがPMOです
後方支援というとPMの方が組織上の上司に聞こえますがPMOがプロジェクトをコントロールする度合いは組織の要求によって変わります
PMOがPMを任命して積極的にプロジェクトをコントロールすることもありますよ
PMOの具体的な役割・仕事の内容は?
- プロジェクトマネージメントの標準化
- 人材開発のためにトレーニングなどの手配
- プロジェクトチームの業務支援(書類作成)
- プロジェクトチーム間の各調整(人・もの・金)
この中では『プロジェクトマネージメントの標準化』が一番大切です!
- プロセスで必要な書類のフォーマットを作成して文書化する
- 過去のプロジェクトでの成功例から得られた教訓をまとめてチームに共有する
過去の教訓を知ることによって事前準備ができプロジェクトの成功率は格段に向上します!
PMOとしての組織がない会社でもプロジェクトチームを支援する事務員や社員のためにトレーニングや研修会などの人材開発を支援する教育部門があると思います
広義ではこのような人たちもPMOとしても役割を担っています
ですが、プロジェクトに横断的に関与し積極的に各チームを支援するのがPMOです
PMやチームメンバーにとって心強いサポートメンバーがPMOです!
PMOがどのようにプロジェクトを支援するかはいくつかパターンがあります
パターン | 関与度合い | 支援方法 |
支援型PMO | 低い | 文書化,教訓などの情報をチームに提供する プロジェクトに助言を与える役割を担う |
コントロール型PMO | 中程度 | 支援と同時にチームに規則やルールを要求する 管理方法、プロセスに従うように要求監視する |
指揮型PMO | 高い | プロジェクトを直接マネージメントする PMはPMOに任命され、PMはPMOに報告する |
一般的なPMOは『支援型PMO~コントロール型PMO』でプロジェクトを支援します
PMOが組織として社内で認知されるとコントロール型PMOとしてプロジェクトに関与して各チームの運営状況や進捗を監視し、必要ならば資源の調整などの役割も積極的に行います
PMOは各プロジェクトに横断的に関与して全体最適化を図ります
PMOがどうして必要なのか?そのメリットは?
PMOを導入するメリットは『企業経営への貢献』です
- 過去のプロジェクトの教訓や手法をチームに共有
- プロジェクト管理の効率・品質が向上する
- プロジェクトチーム間の資源の調整
- PMOの監視によるプロジェクトの視える化
過去のプロジェクトの教訓や手法をチームに共有出来る
PMOの重要な役割の一つが『プロジェクト手法の標準化』です
過去のプロジェクトからプロセスを文書化したり、成功事例を教訓として資料化してプロジェクトチームがいつでも資料や情報にアクセス出来るようにします
これによりプロジェクトチームは成功事例から最適な管理手法を決定したり、失敗事例から発生するリスクを事前に予測し対策を取ることが出来ます
また社内での文書フォーマットが基準化されていますので、文書品質も向上します
PMやチームメンバーは一つのプロジェクトに専念していますので、自分の関わっていないプロジェクトの結果や過去の教訓を知らないことが通常です
PMOが組織内で情報を共有することによりプロジェクトの成功率が格段に向上します
過去にした失敗を繰り返ししないことでロスを抑制したり、成功率が向上することにより将来のビジネスにつながったり、会社経営陣にとっても『標準化』は効果をもたらします
過去の教訓や文書化にPMは本当に助けられます
プロジェクト管理の効率・品質が向上できる
プロジェクトの各プロセスのベストプラクティス(過去成功した事例のベスト手法)を文書化することにより、類似プロジェクトの効率や品質が向上します
- 適正なコストがわかることにより見積もりの時間の短縮、予算精度の向上
- 実現可能なスケジュールがわかることにより最短日程の提案と遅延防止
- トラブルリスクがわかることにより事前予防策の立案
- コミュニケーションやステークホルダー管理の高度化など
参考にできる実績データがあることで調査時間の短縮ができたり、各見積もり精度が上がるので手直し時間が減るなど業務効率が向上します!
プロジェクトチーム間の資源の調整ができる
人員等の資源には限りがありますので最適な配分がプロジェクトの成功を左右します
PMOが各プロジェクトを横断して監視することにより、資源の配分の最適化が図れます
資源を最大利用することによって経営効率の向上にもつながります
プロジェクトの視える化ができる
PMOが各プロジェクトからの報告をまとめて社内に共有することによりプロジェクトの状況を『視える化』することが出来ます
プロジェクト優先順位付けや経営判断の迅速化を促進することが可能になります
PMOは企業経営にとっても大きなメリットがあります!
PMOに必要なスキルや資格は?
PMOになるために必要な資格は特にありません
日本国内では『日本PMO協会』が運営している認定資格がありますのでPMOとしてキャリアアップを目指す人はチャレンジしてみてください
ただし、PMOを職業として募集している企業はまだ数多くはないのが現状です
PMOには『プロジェクトマネージメントの知識』が求められます
プロジェクトマネージャー資格取得を目指すのも良いでしょう
▼最低限プロジェクトマネージメントの知識は必須です
さいごに私の経験をご紹介します
現在勤めている会社に入社したときは社内にPMOがありませんでした
私が技術・工事部門責任者になってから初めに着手したのがPMOを組織することでした
当時は誰もPMOを知らなかったので賛成してくれる人はいませんでしたが、PMOが機能し始めて効果が目に見えるようになると、今では無くてはならないチームになりました
一番の効果は『標準化』により、過去のトラブルの繰り返しが少なくなったことです
同じ内容のプロジェクトでも担当者が変わると過去に起きたトラブルが再発します
トラブルの繰り返しは会社にとって本当にムダな労力とコストです
標準化でトラブルを事前に抑制しプロジェクト管理の効率を向上させるPMOはプロジェクト業務にはなくてはならない存在です
企業経営にとってもPMOはこれから必須だと思いますがみなさんはどう思いますか?
それではみなさんの参考になれば、うれしいです
▼こちらの関連記事もどうぞ
-
【現役PMPが語る】プロジェクトマネージャー試験の難易度・勉強法とは?
どうも、現役PMPのMARCUSです。 「キャリアアップにPMPを取りたいけど、なんか難しそう」 「PMPを取れと会社に言われたけど落ちたら、恥ずかしい」 「PMP試験前にどんな勉強をしたらいいか、わ ...
続きを見る
-
【PMPが語る!】プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違いと役割
こんにちは、現役PMPで建設プロマネのMARCUSです 『プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違い』について質問を受けます 一般的なプロジェクトマネージャー(PM)とプロジェクトリーダー( ...
続きを見る