こんにちは、MARCUS(マーカス)です。
「はじめてでプロジェクト計画書の書き方がわからない」「何を書けばよいかいつも悩む」「どんなことに注意して書けば良いか知りたい」
そんなあなたの悩みにお答えます。
本記事の内容
その①プロジェクト計画書の目的を知ろう
その②プロジェクト計画書への具体的な記載項目
その③プロジェクト計画書を書く時のポイントを知る
初心者のうちは何をするにも迷いますし、時間もかかるものです。
特にこれと言ったルールがないような仕事や書類ですと、なおさらですね。
プロマネにとっては「プロジェクト計画書」もその一例と言えるのではないでしょうか?
今回は、「プロジェクト計画書の書き方」についてご紹介します。
初心者でも「何を書けば良いかわかる」ように解説していきます。
読み終えれば、ベテラン顔負けの計画書が作れるようになると思いますよ。
それでは、建設系プロマネ歴12年でPMPのわたしが書いていきます
目次
プロジェクト計画書の目的を知ろう
プロジェクト計画書を作成する目的は、「プロジェクトの成功確率を上げる」ということたった一点です。
プロジェクトを成功させるためには、QCD(品質、コスト、納期)の目標を決め、それを実現するために必要な活動をしていくことになります。
いくつもの活動が連動しながら、同時進行していくということです。
複数の活動を同時進めていく手順書が、プロジェクト計画書になります。
例えば、チーム内の各グループが他のグループの進捗を気にせず、バラバラに業務を進めていては、足並みが揃わず引き継ぎが乱れ、スケジュールに影響が出るでしょう。
また、各グループに影響がある内容変更などがあったときにも、周知するルールを決めておかないと、「変更を知らずにそのまま無駄な業務を続けた」なんてことにもなりかねません。
計画書には、チームとして働いている各グループを目標達成に向けて導いていくという役割もあります。
プロジェクトの目的やゴール、ルールなどを共通認識としてチームに持たせて、認識の相違を防ぎ、スムーズに作業を進めさせる。
そうすることによって、プロジェクトは成功に近づくことができます。
プロジェクト計画書への具体的な記載項目
結論から言いますと、「PMBOKの10の知識エリアをベース」に計画書の目次を組み立てれば、必要な項目を網羅することができます。
なぜなら、PMBOKは「プロジェクトマネージメントを体系的にまとめたガイドブック」ですので、その項目を網羅することで漏れをなくすことができるということです。
それでは、プロジェクト計画書の内容を見ていきましょう。
①プロジェクトの目的と目標
②スコープ記述書
③概略スケジュール
④コスト(予算)
⑤プロジェクト体制図
⑥品質マネージメント
⑦コミュニケーション
⑧リスクマネージメント
①プロジェクトの目的と目標
最初のスライドには、「プロジェクトの概要」を書くようにしましょう。
これは、資料のイントロとなり、計画全体の方向性を示します。
ステークホルダーに「共通認識」を持ってもらうことと、チームメンバーにこれから始まる仕事への「参画意識」を高めてもらうためです。
✓プロジェクトの目的
「何のためにやるプロジェクトなのか?」という意義を書きます。
数行の簡潔な文章(箇条書き可)で書くとわかりやすいでしょう。
市場価値や事業戦略などに紐つけた内容とすると、どのように自分たちの仕事が社会や会社のためになるのかという目的意識をチーム内で共有できますので、オススメです。
✓目標(プロジェクトのゴール)
QCD(品質・コスト・スケジュール)の目標を書きます。
できるだけ目標は数値で書いて、定量化しましょう。
・品質
ハイレベルの要求を含め、品質目標を数値で細かく書く
定量化できないサービスなどは、言葉で目標を定義する
・コスト
予算、原価率や利益目標を設定する
(社外用資料の場合には予算のみ記載する)
・スケジュール
計画全体の目標マイルストーンを書く
まずは、プロジェクトの意義とゴールを共有します。
管理計画の前提となる項目ですので、間違いのないようにしましょう。
②スコープ記述書
スコープ記述書で、対象となる作業の「範囲」を明確にします。
目的達成のために、作業の漏れを無くすためです。
「要求事項を収集」して、「スコープ記述書」にまとめて、「WBS」で詳細に作業を分解する作業となります。
WBSは、Work Break Down Structure(作業分解展開図)の略称です。
スケジュールの元にもなり、プロジェクト管理の重要資料の1つです。
スコープ記述書に記載するべき項目とは、
①プロジェクト名称
②対象作業の範囲
③対象作業からの除外範囲
④主な成果物
⑤成功基準
⑥前提条件
⑦制約条件
などの内容になります。
対象作業の範囲と除外については、必要に応じてより詳細範囲や情報を追記した一覧表などを添付資料として用意した方がよいでしょう。
プロジェクトに関わる会社が数社になる場合には、各作業を担当する会社名も明記して情報を補うようにしましょう。
目標達成のためには、作業漏れがあると必ずトラブルとなりスケジュール遅延や、それにともなうコスト増加につながります。
ですので、範囲の詳細を文章化して共有することは重要な作業です。
③概略スケジュール
計画書のスケジュールでは、「概要のみ」を書くようにします。
経営層などへの説明では、WBSでのスケジュールでは細かすぎすからです。
これから始まるプロジェクトへの「心の準備」のためには、全体日程のイメージを共有した方が、詳細日程を説明するよりも効果があります。
概要スケジュールには、「マイルストーンやクリティカルパス」も書いて、わかりやすく全体日程を共有できるように心がけます。
数ヶ月のプロジェクトであれば、マイルストーンをつなぐように1ヶ月単位以上で日程線を引けば、それで十分です。
もっと詳細を知りたいメンバーのために、WBSスケジュールは添付資料として配布するようにしましょう。
④コスト(予算)
コストでは、プロジェクトにかかる予算とその内訳を書きます。
①ハード費用(機器費、部品費)
②ソフト費用(設計費、開発費)
③人件費(外部人材、内部人材)
④備品費、仮設費、経費
⑤予備費(プロジェクトによる)
内訳は案件によりそれぞれ変更すれば良いと思いますが、わかりずらくなるので、項目はあまり細かく分解しすぎないようにしましょう。
見積根拠を含めた詳細内訳は、別途添付資料で用意しておきます。
⑤プロジェクト体制図
体制図では、計画に関わる「全ての関係者、メンバー名」を書き出します。
ピラミット状の体制図で組織が図形化されることが多いですが、体制図の他に「役割・権限表」も一緒に書くようにしましょう。
体制図だけでは、各グループの役割が書ききれませんし、リーダーやメンバーといったグループ内での権限についても明確にできないためです。
チームに「最高の働き」をしてもらってプロジェクトの成功確率を上げるためには、メンバーの役割とそれに見合う権限の明確化は、絶対条件です。
▼こちらの関連記事で、体制図について詳細を説明しています。
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⑥品質マネージメント
プロジェクトのQ(品質)目標について、具体的に表にします。
①プロセスと成果物
②品質の分類や項目
③測定方法や頻度、ツール
④具体的な目標値、許容値
⑤不適合、是正処置の方法など
規模によって、全ての品質目標を書くと細かくなりすぎる場合には、特に重要な項目だけを洗い出して、計画書に載せるようにします。
詳細をまとめた「品質定義書」は添付資料として準備しましょう。
⑦コミュニケーション
プロジェクト実行中の「会議や打合せ」、「コミュニケーションのルールについて(メール、ファイル形式など)」規定します。
プロジェクトが始まってから、関係者を調整して会議日程などを決めると大変なので、事前に決めるようにします。
具体的な内容としては、
会議や打合せ表
①会議や打合せ名称
②出席者
③目的、内容
④開催頻度、時間
⑤日付(決められれば)
コミュニケーションルール
①メール
・題名の付け方
・宛先(To、CC)の定義
・本文の書き方
②ファイル形式やツール
・配布するファイルの型式
・共有ツールとして使うアプリやソフトウェア
③資料などの回覧・承認
・提出時期・日程(返信期限など)
・提出者、回覧者、承認者
・提出方法(紙、メール)
などがあります。
PMBOKでは、「プロジェクトの成功はステークホルダー(関係者)の満足度で決まる」としています。
それぐらいコミュニケーションの良し悪しが、プロジェクト成否に大きく影響するということです。
忘れがちな項目ですが、しっかりと計画するようにしましょう。
⑧リスクマネージメント
もっともプロジェクト計画書の中で、事前に関係者と共有しておくべき資料が「リスクアセスメント」です。
プロジェクト中に発生する可能性があるリスクを全て洗い出し、それに対する対策案を書き出します。
①リスク項目
②発生確率(低・中・高)
③影響度(低・中・高)
④優先度(低・中・高)
⑤対応戦略(回避、軽減、転嫁、受容)
⑥トリガー
⑦対応策
⑧コストへの影響
⑨スケジュールへの影響
ここまで計画書に書いてきたスコープやスケジュールなどは目的達成のために定義した内容で、いわばチームがこれから必ず管理していくことです。
しかし、リスクマネージメントでは起こるかもしれない「不確定なリスク」を洗い出し、その確率や影響から発生したときの対策を書いていきます。
もし、リスクが発生するとプロジェクトになんらかの影響を及ぼします。
・リスク対策の実行で、作業工数が増えてスケジュールが遅れる
・同理由で、コストが増える
リスク発生時に関係者への「悪いサプライズ」とならないように、しっかりとリスクと対策について説明して、影響を説明しておきましょう。
そうすることで、関係者のプロジェクトへの満足度を損なうことを防ぐことができ、追加コストやスケジュール変更への承認がスムーズに進みます。
リスクマネージメントを事前に共有・周知することは、重要です。
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プロジェクト計画書を書く時のポイントを知る
プロジェクト計画書作成時の注意点が、以下の3つです。
①資料のフォーマットは事前に決めておく
②目標値や影響などは、できるだけ具体的に数値化する
③各要素の資料は、別々のページに分けて作る
✓資料のフォーマットは事前に決めておく
プロジェクト計画書は、何度も修正されることが多いためです。
計画書をパワーポイントで作成する人も多いですが、エクセルやワードファイルを使った方が表の修正や詳細資料を編集するときには便利です。
プロジェクト中は、誰か他のメンバーが資料を編集することがあるのを考えても、フォーマットは作ったほうが良いです。
各会社でテンプレートがあれば、それを使うようにしましょう。
✓目標値や影響などは、できるだけ具体的に数値化する
なるべくあいまいな表現は避けて、数値で基準を定義するようにします。
言葉だけの定義では、関係者各自の認識に相違がでるためです。
これが成果物受け入れのときに、トラブルの原因となります。
例えば、品質目標にしても
①各品質目標をそれぞれ数値化する
②いつ、だれが、どうやって測定するのか
③各品質測定は、何回行うのか
④測定結果のばらつきは、何%まで許容されるのか
というようなことをそれぞれ基準化していきます。
「サービス」のような数値化しにくい成果物の場合でも、基本同じです。
どうしても数値化することが難しいような内容については、「プロジェクトの成功基準や検収条件には入れない」ようにすることが賢明でしょう。
「何を持って受け入れとなるのか」について関係者と協議してください。
はっきりしていない「受け入れ基準」は、必ずトラブルの元になりますので十分注意するようにしてください。
✓各要素の資料は、別々のページに分けて作る
スコープ、スケジュールなど資料は、「別々のページ」でまとめてください。
全て要素を1つのファイルでまとめていると、スコープからスケジュールへページの途中でかわる場合がありますが、これはオススメしません。
計画書でも外部用と内部用で、書く内容が変えることがあるためです。
例えば、通常では、コストの資料は外部用資料では除きます。
マスタースケジュールも内部用では、予備日数を明記するかもしれません。
こういった資料の差し替えや使い分けを簡単にするためにも、各計画書の要素は別々のページで用意しておいたほうが、無難です。
まとめ
ポイント
その①プロジェクト計画書の目的を知ろう
その②プロジェクト計画書への具体的な記載項目
その③プロジェクト計画書を書く時のポイントを知る
今回は、「プロジェクト計画書」についてご紹介してきました。
実際には、プロジェクト計画書を書く!といって作られるものではなく、「10の知識エリアで作成された各プロセス計画書を取りまとめたもの」がプロジェクト計画書です。
ですが、経営層や役員などへの説明では全ての計画書の詳細を説明している時間もありませんし、重要なことがうまく共有されません。
そこで、重要な点をピックアップして関係者説明用にまとめたものが「プロジェクト計画書」として運用されているのが、現実といったところです。
記事の内容を見ていただければ、「PMBOKのプロセスに沿った目次」になっていることがわかったと思います。
初心者の方でも、PMBOKをベースにプロジェクト計画書の構成を考えれば、ベテラン顔負けのものが書けると思いますよ。
それでは、今回は以上です。
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