PMBOK PROJECT MANAGEMENT

【PMBOK】スコープとは?|定義とその重要性を解説

2021年2月13日

こんにちは、MARCUS(マーカス)です。

「スコープとはなんですか?」「PMBOKのスコープの定義とは?」「スコープはどうして重要なんですか?」

そんなあなたの悩みに、お答えますよ。

本記事の内容

その①スコープとは?その定義について
その②PMBOKで使われるスコープについて
その③スコープの管理が超重要なワケ

最近はどんどん国際(グローバル)化が進んで、ちょっと前までは遠い存在だった海外をごく身近に感じれるようになりましたよね。

格安航空券や旅行パックもお得になり、わたしたちでも気軽に海外旅行に行けるようになったことは、うれしいかぎりです。

でもその反面、仕事の面では海外の子会社やお役さんとの仕事も多くなり、英語でのコミュニケーションも増えてきたのではないでしょうか。

そんな英語でのコミュニケーションのせいか日本のオフィスでも業界を問わず、「カタカナ英語」が日常的によく使われるようになりましたねぇ。

ところが、この「カタカナ英語」が実はくせ者なんです

その業界では通用するカタカナ英語でも、転職組や新社会人にとっては馴染みのない言葉が多く、すぐに意味を理解することは難しいのではないでしょうか。

業界用語が飛び交う社内での先輩や上司の会話についていけず、なんとなく意味を理解した程度で、わかった顔をして終わらせていませんか?

でもこれは、非常にまずいんですよ!(経験談)

ビジネスでは、意味がわからない用語や会話をそのままにしておくと、あとで取り返しのつかないミスや間違いの元となりかねません。

あなたのちょっとした勘違いで、会社に大きな損害を出してしまうかも?!

そんなことにならないように馴染みのない「カタカナ英語」が出てきたら、毎回ちゃんと意味を理解しておくことが重要なんです。

今回は、ビジネス用語でもありPMBOKプロセスの1つでもある「スコープ」についてご紹介します。

読み終えれば「スコープの意味やその重要性」がちゃんとわかるようになって、「勘違いでの失敗がなくなる」と思いますよ。

ちょっと前置きが長くなりました。
それでは東南アジア在住、建設系プロマネの私が書いていきます。

その①スコープとは?その定義

さっそく結論ですが、スコープとは「範囲」のことです。

もともとスコープは英語の「Scope」が由来ですので、名詞としての「範囲や領域」、動詞としての「注意深く見る」といった英単語の意味をそのまま日本語でも使っていますね。

英単語では「機会や可能性」という意味も名詞としてありますよ

さらに深堀りするため、もう少し細かく各辞書で意味を見ていくと、

①(能力、活動、研究、理解などの及ぶ)範囲。視野。
②(学習内容を選択する基準となる)領域。範囲。
③銃器の照準器。
④それを見る器械。(マイクロスコープ、ファイバースコープ)

「銃器の照準器」や「マイクロスコープ」からもわかるように「見える範囲が限定された機器」という意味でもスコープが使われます。

社内やビジネスの会話で出てくるスコープの使われ方は、
「そのプロジェクトのスコープはどうなっているんだ?」
「今回のスコープは、●●●と▲▲▲です」など

ビジネスでスコープという言葉が出てきたら、なんらかの(仕事の)範囲について話していると思ってまず間違いありませんよ。

ですので、スコープという言葉は「視野・領域といった意味も含めた範囲という意味で使われているということ」をよく覚えておいてください。

その②PMBOKで使われるスコープについて

では、もっと具体的に見てみましょう。

業界を問わずよく使われるスコープですが、もっともよく使われるのは「ITや建設系などプロジェクトマネージメンの分野」です。

プロジェクトマネジメントの教本として、国際的に運用されているPMBOK(Project Management Body of Knowledge)では、管理項目の1つとして「スコープマネージメント」について明確にルールを決めているためです。

本記事では、2種類のスコープについてご説明します。

プロダクト・スコープ

プロダクトスコープは「成果物スコープ」とも呼ばれます。

プロジェクトで生み出す成果物(システムやサービス、文書などのアウトプット)の範囲を示す言葉です。

こちらの記事で「プロジェクト」について詳しく解説しています
プロジェクトの意味について【担当者にとって2つの大切なこと】

プロジェクトを始める前に、お客様とプロダクトスコープについて細かいところまで話し合って決めることが、まずは大切です。

例えば、オーダーメイドで家を建てるとしましょう。

まずは、建物自体を最低限の成果物としなくてはいけませんが、その他にもお客様の要望でシステムやサービス(成果物)追加があるかもしれません。

①太陽光発電を設置してほしい(システム)
②建築中、防音工事してほしい(サービス)
③エコ対応材料の証明書が見たい(文書)

ただ家を建てると言っても、お客様によって要望はさまざまですね。

せっかく一生懸命仕事をしても、その結果がお客様を満足させられなければ、プロジェクトは成功しませんし、報酬を得ることもできません。

事前にどんな結果がほしいのか?をよく打合せして、プロダクトスコープをはっきりと決めることは、お互いの利益のために重要です。

あとで聞いた、聞いてないなんてやり取りではプロとは言えませんよね

プロジェクトの前や途中、完了後などに「どのような成果物をお客さんに提出しなくてはいけないのか」を決めるのが、プロダクトスコープです。

プロジェクト・スコープ

プロジェクトスコープは「作業スコープ」とも呼ばれ、プロダクトスコープで決めた成果物を生み出すための「作業の範囲」です。

プロジェクトスコープで大切なことはスコープとなった作業について「作業完了の目安となる目標を測定可能な数値で決める」ことです。

さっきのオーダーメイドの家を建てるで例えると、

①3000Wの太陽光発電を設置する
②周辺騒音が80dB以下となる防音工事をする
③エコマーク付材料を使用する

目標となる数値が変わると、作業の内容や範囲が変わってきます。

太陽光発電の300Wと3000Wでは、屋根の上にのせる発電パネルの数も多くなりますし、重量も違ってきます。

それによって、屋根の耐荷重計算や電気を供給する配線材料の見直しも必要ですし、工事日数も変わってくるでしょう。

プロジェクトスコープ「作業の範囲」が変わってしまうんです

予想しなかった作業の追加があれば余計に費用がかかって、利益が減りますし、完了の遅れや費用請求の問題などでお客様の信頼を失いかねません。

ですので、プロダクトスコープで決めた成果物に対して、どのような結果をもって作業完了とするのかを事前に決めておくことが大切なんです。

プロジェクトスコープは「作業の範囲」だけど、いっしょに数値目標を決めることが大切だということを忘れないようにしてください。

その③スコープの管理が超重要なワケ

スコープを決めることが「全ての始まり」になるので重要なんです。

あなたがこれからプロジェクトで仕事を始める場合、ハイレベルと言われるだいたい要望や内容は決まっているでしょうが、「担当者レベルで何をすればよいのか?」なんてことはまず決まっていません。

プロダクトスコープ、プロジェクトスコープを明確にすることで、あなたがこれから何をするべきなのかが決まるという意味で重要ですよ。

スコープを決める手順としては「①要求事項の収集⇒②スコープの定義」という順番です。

まずは、要求事項の収集。

ステークホルダーと呼ばれる関係者と面談したり、打合せをしたりしてプロジェクトへの要求事項を聞き取っていきます。

①成果物として何をのぞんでいるのか?⇒プロダクトスコープ
②成果物の数値目標は?⇒プロジェクトスコープ
③その他、なにをプロジェクトに期待するのか?⇒満足度の指標
④スコープ除外内容⇒プロジェクトでしなくて良いこと

スコープ=範囲を聞き取るので、範囲外になることも忘れずに確認することが大切ですよ。

不要・重複作業による無駄なコスト、時間を節約できます。

わたしがいつも気をつけて聞くのは、「プロジェクトへの期待」です

関係者の期待値を知ることで、どの方向に作業を進めればよいのか道標になりますし、判断が必要なときの材料としても役に立ちます。

極端な例ですが、予算超過しようが完了遅延しようが、オーナーや上司などの最上位関係者の満足を得られれば「プロジェクトは成功」です。

プロジェクトの目的=関係者の期待値と理解して、それを達成するための各QCD目標であること、優先順位をよく理解してくださいね。

目標を達成しても、ビジネス上の目的が達成されなければオーナーやお客様としては投資をした意味がありません。

「お客様の満足度を得る」という視点での要求事項収集が、プロジェクトの成功にも、今後のビジネスのためにも大切なことですよ。

つぎに、スコープの定義。

「スコープ記述書」にまとめて、関係者から承認を取ります。

こちらの記事で「スコープ記述書」について確認できます
プロジェクト憲章とは?【その目的と内容をわかりやすく説明】

聞き取りした要求事項、数値目標、スコープ除外などを記述書にまとめて、関係者と打合せをし、承認をもらいます。

これでやっとプロダクトスコープとプロジェクトスコープについて決まったことになるので、作業に取りかかれる状態となります。

スコープを決める切り口としては、PMBOKでも書かれていますが「QCD(品質、コスト、スケジュール)目標」をまずは決めることですね。

QCD目標が数値で決まれば、その他のリスク、コミュニケーション、調達、資源といった管理エリアの計画もできるようになります。

スコープの決定でプロジェクトほぼ成功?!

スコープを決めるときにプロジェクトの目標が決まるので、無理のない目標をたてられるかどうかが、プロジェクト成功の分かれ道です。

プロジェクトの成功は、関係者の満足度で決まると言われている

どんなに仕事をがんばっても、成果物が不足していたり作業結果が目標値以下であれば、そのプロジェクトは成功したとは言いにくいですね。

スコープは、あなたがこれから何をするのかを決めると同時に、プロジェクトが成功の判断基準となる目標決めをするというとても重要なプロセスであるということがわかったもらえたと思います。

まとめ 【PMBOK】スコープとは?|これが分かれば、プロジェクトは成功です。

本記事の内容

その①スコープとは?その意味
その②ビジネスで使われるスコープについて
その③スコープの管理が超重要なワケ

今回は、スコープについてご紹介しました。

途中、スコープの重要性や何に注意をすればよいかも合わせてお話しましたので、これからのスコープ決めの役に立つのではないでしょうか?

特にプロジェクトの仕事をしている人にとっては、「スコープについての関係者との調整」が計画段階でもっとも重要な仕事の1つです。

「自分が何をするのか?その背景は何なのか?お客さんは自分(プロジェクト)に何を期待しているのか?」そういった視座でスコープについて考えられれば、あなたのプロジェクトは成功したも同然です!

それでは、今回は以上です。

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