こんにちは、MARCUS(マーカス)です。
「プロジェクトのスコープってなんですか?」
「どうしてスコープの管理が必要なの?」
「なにか良いことあるの?」
そんなあなたの質問にお答えます。
本記事の内容
その①プロジェクトのスコープとは?
その②スコープマネージメントは重要?!その理由
その③スコープありきか?予算・納期ありきか?
今回は、プロジェクトのスコープについてです。
プロジェクトマネージメントでは3大管理要素と呼ばれる「スコープ」ですが、なんのことかよくわからない人も多いのではないでしょうか?
わかりやすく説明しますので、読み終えれば「プロジェクトを成功させる確率を上げるコツ」がわかるようになると思いますよ。
それでは、建設系プロマネ歴12年以上のわたしが書いていきます。
目次
プロジェクトのスコープとは?
結論ですが、スコープは「なんらかの範囲のこと」。
英語の「範囲」を意味する「Scope」が由来になっているためですね。
こちらの関連記事でもスコープについて書いてますので合わせてどうぞ。
【PMBOK】スコープとは?|これが分かれば、プロジェクトは成功です。
スコープがビジネスで使われる場合、マネージメント(管理)とセットで『スコープマネージメント』と言う言葉で使われます。
どのような業界や場面で「スコープマネージメント」が使われているかと言えば、間違いなく「プロジェクトマネージメント」の分野です。
プロジェクトマネージメントは、品質やコスト、スケジュールなどを管理することで、プロジェクトの成功確率を上げようとする活動です。
プロジェクトマネージメントの知識を体系的にまとめたPMBOKでは、『スコープマネージメント』を以下のように定義しています。
プロジェクトを成功裏に完了するために必要なすべての作業を、かつ必要な作業のみをプロジェクトが含むことを確認するために必要なプロセスからなる。プロジェクト・スコープのマネージメントでは、プロジェクトに何が含まれ、何が含まれないのかを定義し、コントロールすることに主眼をおいている。
PMBOK Edition6
なんだか難しい文章で書いてありますが、簡単にまとめると『スコープマネージメントは、プロジェクトの目標達成のために何をするのか、もしくは何をしないのかを明確にする』ということです!
プロジェクト憲章で決定された目的「Why」を受けて、次のプロセスとなるスコープマネージメントでは、なにをすれば目的を達成できるのかの「What」を決めます。
プロジェクト憲章について知りたい方はこちらの関連記事でどうぞ。
プロジェクト憲章とは?【その目的と内容をわかりやすく説明】
PMBOKプロセスのなかで5W1Hの『WHAT(なにをする)』を唯一決めるのが、スコープマネージメントということも合わせて覚えてくださいね
また、スコープマネジメントは成果物や作業の範囲を決めて、ゴール(目標)までに発生する『ブレや変更を管理するテクニック』でもあります。
チームで作業を始めると、各メンバーがそれぞれのタスクで発生する問題や課題を解決するために自己判断を繰り返しながら、毎日活動を進めていくことになります。
日常の作業の中では、オーナーからの急な変更依頼やちょっとしたトラブルなどに対処しながらタスクをこなしていくことが日常茶飯事です。
判断の迷いからくる『ブレ』の修正や『変更依頼』への対処方針が作業目標の達成に向かって確実に進んでいるのかを確認していくことが、プロジェクトの目的達成には重要です。
そのためには、成果物や作業の範囲を事前に明確にすることが大切で、『無駄なく最短で目標を達成するために漏れなく・ダブりなく作業を洗い出すこと』がスコープマネジメントだということです。
まとめると、スコープマネージメントは『作業範囲を明確にすること』
目標を達成するために『プロジェクトですること・しないことを決定・管理するプロセス』だということがわかっていただけたのではないでしょうか。
スコープマネージメントは重要!その理由
プロジェクトマネジメントでは、一番はじめにスコープマネジメントのプロセスを行います。
それほど重要なプロセスだということですが、その理由は以下の通り。
①プロジェクト管理3大要素の1つ(スコープ、コスト、スケジュール)
②スコープの特定でこれからはじまる仕事の内容が決まる!
③鉄壁の守りで、作業中のブレや変更要求に備える
④お客さんの期待値・満足度をコントロールする
まずは、「スコープマネージメント」はコスト、スケジュールとともにプロジェクト管理の3大要素であるということです。
3大要素と聞くだけで、なんだかとても重要なことだって気がしますよね。
・スコープとは、プロジェクトでカバーする範囲のこと。
・コストとは、いわゆるプロジェクトで使える予算のこと。
・スケジュールとは、そのプロジェクトの期間のことです。
作業でカバーする範囲が広がれば、増加する作業量に比例して予算や期間がもっと必要になりますし、またその逆の場合もしかりです。
予算や期間は、プロジェクトの結果から得られるビジネス上の成果を元に許容出来る額や時間が予め決められていることが多いです。
予算と期間の制約のなかで、目標達成できる可能性がある作業範囲かどうかということが、プロジェクトの成功には重要な鍵になります。
『無茶ブリに近いような広い範囲の仕事(スコープ)』を『少ない予算と短い期間』で達成する約束をするなんて、始める前からプロジェクトの失敗が目に見えているようなものです。
こちらの関連記事でプロジェクトを始める前に大切なことを書いていますので参考にしてください
プロジェクトの成功は始まる前で決まる!|ポイントを現役プロマネが語ります
ですので、予算や期間の制約も考慮しながら「プロジェクトですること・しないこと(スコープ)」をはっきりと事前に決定することは、プロジェクトの成功にはとても大切だということがわかりますね。
スコープがちゃんと決まれば、これから始める仕事の内容も決まりますし、ブレや変更要求があったときにも、それが当初約束した範囲内の仕事かどうかも容易に判断ができ、作業の方向性を見失わずにすみます。
自分がこれからなにをするか、仕事の範囲がよく理解できていなくては、作業の効率も悪くなりますし、急な変更があったときにただ引き受けてしまって余計な仕事が増え、あとから予算を超過したとか期限通りに終わらなかった、なんてことにもなりかねません。
良かれと思って引き受けたけど最終的に約束した目標を守れなかったとなれば、そのプロジェクトは失敗と判断されますし、お客さんの期待に答えられず将来のビジネスを逃してしまうでしょう。
そうなっては、本末転倒です。
・事前にスコープを明確に決定・文書化し、お客さんの承認を取る。
・お客さんから作業への変更要求があった場合、それを引き受けることで全体にどのような影響がでるのかを説明し、事前にお客さんの承認を取る。
事前承認を取ることで、プロジェクトの結果に対する「お客さんの期待値や満足度をコントロールすること」ができます。
ここまでをまとめますね。
プロジェクトを成功させるためには、スコープ・コスト・スケジュールの管理が重要で、作業範囲や内容の変更は他の要素に大きな影響を与えるということがわかったと思います。
また、お客さんからの変更要求には、事前にプロジェクトへの影響を説明して承認を取っておくということも、お客さんの期待値や満足度をコントロールしてプロジェクトを成功させるためには、とても大切なことです。
3大管理要素のなかでも『スコープのブレや変更』がコストやスケジュールなど他の要素への影響が大きいので『スコープマネージメント』が重要だということですよ。
スコープありきか?予算・納期ありきか?
スコープよりも先に『コストとスケジュールがすでに決まっているプロジェクト』を担当することになったら、注意してください。
前途多難なプロジェクトの船出になりそうですよ。
プロジェクトの3大管理要素になる『スコープ・コスト・スケジュール』が決められる手順や方法は、プロジェクトごとに違います。
プロジェクトをスムーズに成功させるためには『スコープをコストやスケジュールよりも先に検討する』ということがとても大切です
期待されるビジネス上の目的のために、まずプロジェクトで達成しなければいけない目標が決め、スコープ(やるべきこと)を決定します。
つぎに決めたスコープを達成するために、必要な予算(コスト)や時間(スケジュール)を算出して目標を決めるという手順です。
そうすることで『ビジネス目的達成のためにプロジェクト目標⇒目標達成のためにやるべきこと⇒必要な予算と時間を算出』という手順になり、スコープ・コスト・スケジュールに無理のない計画をたてることができます。
これが「逆の検討手順(スコープが後)」であったらどうでしょう
『ビジネス目的とプロジェクト目標⇒許容できる予算と時間が先に決められる⇒その中で何が出来るのか(スコープ)を検討する』
達成しなければいけない目標が設定された段階で「やらなければいけないこと(スコープ)」は自動的にほぼ決まりますが、その作業を行うために使える予算と時間が先に決められているという状況です。
目標達成のために必要な全ての作業内容を実行すると、予算が足りないとか、もしくは時間が足りないなどのトラブルが起きることが予想できますね
多くの場合でスコープでの作業範囲や内容について、減らすとか省略するなどの見直しが必要になることが多くでてくるでしょう。
しかし、スコープに妥協があると目標達成の確実度が危うくなってくる場合がありますし、目標達成のためにはどうしてもスコープが削れない⇒予算や時間が許容値を超過するというような場合には、最悪プロジェクト自体が続行不可能となるかもしれません。
コストやスケジュールの制約から、スコープを後から手直しすることなんてよくあるよ、っていう声も聞こえてきそうですが、プロジェクトの成功とその後のビジネス目的の達成のためには「スコープありき」で考えたほうが良いですよ、ってことを伝えたいということです。
本来であれば、おおよそのスコープ・コスト・スケジュールについてはプロジェクトを宣言する前に「成功の可能性」を検証しておくべきですね
スコープありきか?コスト・スケジュールありきか?
今までの説明で『スコープが先、コスト・スケジュールが後』ということが大切だということがわかったことと思います。
スコープ、コスト、スケジュール。いずれも大切な管理要素ではありますが、スコープはプロジェクトの目的(Why)に対応して、なにをするのか(What)を規定しています。
目的を達成できて、プロジェクトは成功です。
コストやスケジュールよりも、まずはスコープの決定が重要だと思いますね。
まとめ 「スコープ」はプロジェクト3大管理要素
本記事の内容
その①プロジェクトのスコープとは?
その②スコープマネージメントは重要?!その理由
その③スコープありきか?予算・納期ありきか?
今回は、プロジェクトのスコープについてご説明しました。
プロジェクトの目的を達成するために『一体、何をするのか。もしくは、何をすべきで何をしないのか』が、プロジェクトのスコープです。
予算や納期も何をするのかがわからなければ、検討しようがないですよね。
ですので、まずはスコープをできるだけ明確に詳細に決定することが、そのあとに続く予算の見積もりや、スケジュール作成の精度に直結してきます。
3大管理要素の内容や目標がブレていると、そのプロジェクトは前途多難です。(うまくいくかもしれませんが、苦労します)
逆に言えば、スコープ・コスト・スケジュールが明確で関係者からの事前に承認も取れているような場合は、成功する確率も上がってきます。
3大要素の最初の検討要素になる「スコープ」なので、しっかり手を抜かずに決めてスムーズに作業を完了させたいものですね。
それでは、今回は以上です。
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