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こんなプロジェクト体制図を書いていませんか?【テンプレートや注意点を解説】

2020年11月6日

こんにちは、MARCUS(マーカス)です。

プロジェクト体制図っていつ、誰がどう書けばいいの?実際、書く時に何に気をつければいいのかも知りたい

そんなあなたの悩みに、お答えます。

本記事の内容

その①プロジェクト体制図の目的と作成するタイミング
その②プロジェクト体制図作成で注意するポイント
その③プロジェクト体制図のテンプレートと悪い例

みなさんは、プロジェクト体制図をちゃんと確認しているでしょうか?

決まりだからとか言って、なんとなく作ったり見たりしていませんか?

プロジェクトで長く仕事をしていると、「うまくいかない原因は、体制図にあった」なんてこともたまにあります。

今回は、プロジェクトの体制図についてその目的や、作成するときに注意した方がよいことなどをご紹介します。

読む終えれば、「プロジェクトの成功には体制図が重要だ」ということに気がついて、今までとは違った視点で見れるようになると思いますよ。

プロマネ歴12年でPMPのわたしが、書いていきます。

それでは、説明していきます。

プロジェクト体制図の目的と作成するタイミング

プロジェクト体制図を作る目的は

①新たなチームでの活動を定義して宣言する
②チーム内でのコミュニケーションを円滑にする
③各メンバーの役割分担を明確にすること

ということです。

なぜなら、「顔も知らなかった人たち」とはじめて会って、一緒に仕事をすることもめずらしくないからです。

会社であれば、社長の名前から載っている社内全体の組織図や、各部署毎に担当者レベルまで名前が載っている小組織図などがあると思います。

自分がどの部署に所属していて、部長や課長など上司が誰で、先輩や同僚や誰か、ということが一目でわかりますよね。

それによって、上司へのレポートラインや困った時に相談できる先輩や同僚も、組織図を見れば自然とわかるはずです。

ですが、プロジェクトチームでは話しが少し変わってきます。

事業計画に沿って明確に決められた目標達成のために、社内外各部署から集められたメンバーが「はじめて一緒に仕事をする」ことになります。

新たに結成された組織のために、「なぜチームが発足されたのか」「レポートラインはどこなのか」「各メンバーの役割は何なのか」ということを1から組み立てて決めていく作業をしなくてはなりません。

新しいチームのために、「秩序」を作ることが目的です。

ですので、プロジェクト体制図には「リーダーとメンバーなどの上下関係」「各メンバーに期待される役割」を明確にするという目的があります。

✓プロジェクト体制図はいつ、だれが作るのか?

結論だけ言いますと、「プロジェクトマネージャー」「チームのキックオフミーティング前」に作ります。

プロジェクト体制図を作るまでの手順は、

①プロジェクトの目的や目標、期待値を確認する
②スコープ特定、概要スケジュール、概算コストを計画する
③必要な人的資源を見積して、メンバーを獲得する

という流れになります。

プロマネ自らが期待される品質、コスト、スケジュールの目標から必要になるスタッフの能力や人数を試算して、人材を獲得していきます。

そうすることで、チームの編成や体制の組み立てが可能になります。

ですが、短納期や案件掛け持ちなどの制約があることが多く、なかなか人材獲得の手順を踏む時間が取れないことがほとんどです。

現実的にはキックオフミーティングまでに「主要メンバーのみ招集しておいて、あとでスタッフを追加獲得することになる」ことが多くなります。


主要なメンバーと、スコープやスケジュールなど詳細計画を進めていき、各部署と交渉して必要な人材の獲得をしていくことになります。

チームメンバーが全員揃った時点で再度、キックオフミーティングを開いて正規にプロジェクトが進められることになるでしょう。

体制図の目的や手順は明確ですが、「作成手順や時期」は計画により臨機応変に対応しているというのが現実だということです。

プロジェクト体制図作成で注意するポイント

プロジェクト体制図の悪いと、コミュニケーションが悪くなり、二度手間が増え、それによって、作業が期限に終わらなかったりします。

また、それとは逆に、体制図が良い場合には、メンバーのモチベーションを上げることができ、チームが最高のパフォーマンスを発揮したりします。

体制図作成時の注意点は以下の2点。

①各グループ、メンバーの「役割」を、あいまいにしない
②リーダー、メンバーの階層で、「権限」を明記する

✓各グループ、メンバーの「役割」を、あいまいにしない

グループや個人の「責任、任務、タイトル」をはっきりと明確にします。

理由は、メンバーの役割をあいまいにして、隙間(ギャップ)を作ってしまうと、その隙間から「仕事の漏れ」ができてしまうからです。

例えば、こんな状況です。

・役割分担が明確でなく、仕事範囲を自分で決めてしまう
・仕事を進めていくと、自分の範囲かどうか微妙なタスクがある
・多分、他のグループか誰かがやってくれるとまた自己判断してしまう
・実際には、周りのメンバーは誰もこのタスクに手を付けていない
・タスクの成果物が必要になったときに、仕事の漏れに気がつく

各グループや個人の役割が不明確だと、タスクや仕事に漏れができます。

全く予想していなかった仕事の漏れが、突然トラブルとして現れ、スケジュールを大きく遅らせる原因となったりします。

ですので、体制図で役割を定義することは「プロジェクト成功のためには重要だ」と言うことを、覚えておきましょう。

✓リーダー、メンバーの階層で、「権限」を明記する

メンバー個人の権限レベルがその役割と釣り合っている時に、チームメンバーは「最高の働き」ができます。

権限とは、「個人がその立場でもつ権利・権力の範囲」のことです。

業務を進めていく上で必要になる「意思決定、承認署名、トラブル対処判断、成果物受け入れ」などへの権利のことです。

権限レベルを適正にメンバーに与えると、

①上司、リーダーの判断待ちが減って、業務スピードがあがる
②仕事を任されているという満足感から、モチベーションがあがる
③発言や行動への責任感や、参画意識が高められ業務に積極性がでる

というような効果があります。

経験を積んできて、重要な仕事を少しづつ任されるようになると、やりがいを感じてモチベーションが上がります。

誰でもそんな経験ありましたよねぇ

高いモチベーションが、チームのパフォーマンスを引き上げ、最高の働きを実現して、プロジェクト成功の確率を高めることにつながります。

ですので、「役割」と一緒に「権限」もプロジェクト体制図に記載することを忘れないでください。

プロジェクト体制図のテンプレートと悪い例

オススメのプロジェクト体制図です。

ポイントは、所属するグループや階層を明確することと、合わせて「何をするのか」「何をしてもよいのか」を記入することです。

①プロジェクト名称は、何をするかわかるような題名とする
②プロジェクトの目的や、チームの運営方針を記入する
③役割、権限をグループや階層に合わせて記入する
④体制は、レポートラインがわかるようにピラミット状が良い

体制図の良し悪しでプロジェクトはうまくいかないことをお話しましたが、具体的に悪い例を何点がご紹介します。

プロジェクト体制図で代表的な悪い例は、

①プロマネなどの最高責任者が2名以上いる
②横並びのグループが線でつながっている
③チームやグループ名称で役割分担がわからない

ということです。

✓プロマネなどの最高責任者が2名以上いる

そんなことってある?!と思いますか?残念ですが、けっこうありますよ。

多いパターンとしては、1つのプロジェクトで2グループが同時並行して作業をする場合に、各グループのプロマネを横並びにしてしまうことです。

経験や実績が同等のプロマネを2人入れるような場合でも、「必ず上下関係は明確にしておくこと」が「絶対条件」です。

「情報を最高責任者に集約する」「最終承認者は1人にする」ということは、プロジェクトチーム内での一貫性を保つためには重要です。

こちらとあちらの責任者で違うことを言っている、なんていうプロジェクトはうまくいきません。

✓横並びのグループ間が、線でつながっている

メンバーが他のグループとコミュニケーションをするときには「リーダーを必ず通す」、もしくは「必ずCCで情報共有すること」をオススメします。

そうしないと、意思決定者が知らないところで間違った方向にメンバー同士で仕事を進めてしまう、ということがよく起こります。

体制図でグループ間が線でつながっていたりすると、メンバーに間違ったメッセージを送ることになります。

各グループ間をつなぐような線は、記入しないようにしましょう。

✓チームやグループ名称で役割分担がわからない

体制図では、わかりずらい表現はなるべく避けるようにします。

これは体制図だけに限ったことでは有りませんが、パッと見ただけで「自分は何をするグループにいるのか」ということがわかるようにしましょう。

「目的・目標やチームの活動方針」を記入することもオススメ

資料を確認するたびに背景にある「大方針を繰り返し見る」ことで、自分のしている業務の方向性を見失わずにすみます。

ちょっとしたことですが、プロジェクトの意義や方向性が理解できているかどうかで、トラブル対処策検討の時などに大きな違いが出てきます。

難しい単語はいりませんので、わかりやすい資料作りを心がけましょう。

まとめ こんなプロジェクト体制図を書いていませんか?

ポイント

その①プロジェクト体制図の目的と作成するタイミング
その②プロジェクト体制図作成で注意するポイント
その③プロジェクト体制図のテンプレートと悪い例

今回は、プロジェクト体制図についてご紹介しました。

チームを組織するのに1番最初に取り掛かる仕事が、「体制図作り」です。

体制図の良し悪しで、プロジェクトの成功確率が大きく左右されると言っても過言ではないでしょう。

なぜなら、プロジェクトは、「人」によって行われるからです。

優秀な人材を集めても、チーム編成が悪いと「宝の持ち腐れ」なんてことになりかねません。

「目的達成を目指して、運営共同体となる組織を作る」

プロマネには、そんな心構えがあっても良いと思いますよ。

みなさんはどう思いますか?

▼参考までに、わたしがオススメの「組織論の学習本」を何冊かご紹介します。

エンジニアであるプロマネが、日常の業務のなかで「人事的なものの見方や考え方」を習得することはなかなか難しいです。

本を読むことでプロの知見を知ることが出来れば、損はしない自己投資だと思います。

チーム運営に悩んでいる方は、ぜひ一読してみてください。

それでは、今回は以上です。

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