こんにちは、MARCUS(マーカス)です。
「PMBOKのテーラリングって意味がわからない」「具体的にはどういうこと?」「テーラリングの注意点ってないの?」
そんなあなたのお悩みに、お答えます。
本記事の内容
その①「テーラリング」とは?
その②「テーラリング」の基本的な考え方
その③こんな「テーラリング」成功の秘訣
今回は、PMBOKの「テーラリング」についてご紹介します。
読み終えれば、正しいテーラリングが出来るようになると思いますよ。
それでは、プロマネ歴12年でPMPのわたしが書いていきます。
目次
テーラリングとは?
テーラリングとは「社内で決められた基準や手順を、担当したプロジェクトに合わせて最適化すること」です。
洋服などを仕立て直すという意味の「テーラー」が語源になっています。
ビジネススーツを仕立てることを「テーラーメイド」っていいますよね
会社や組織には、仕事の出来(品質)を均一にするためや、効率を向上させるために「業務標準と呼ばれる決められた基準や手順」があります。
しかしこの「業務標準」は、どんな仕事にも当てはまるように作られていますので、実際のプロジェクトでは効率が悪くなったり、余計なプロセスがあったりとうまくいきません。
例えば、みなさんが学習するPMBOKがわかりやすい例でしょう。
PMBOKは、建設からITまでさまざまな業界のプロジェクトに適用できるようプロジェクトマネージメント手法を体系的にまとめたガイド本です。
「なんとでも意味が取れそうな用語」や、「ちょっと回りくどい手順」などでプロジェクト管理の手法を説明しています。
どんな業界にも適用できるように「汎用性」を持たせているんですね
しかし、わたし達がプロジェクトを実行するときには、PMBOKをそのままコピー、運用するわけではありませんよね。
用語やプロセス、テンプレートなどを自分たちの業界慣習やプロジェクトの内容に合わせて変えたり、取捨選択すると思います。
これが、「テーラリングと呼ばれる最適化作業」になります。
ですので、個別のプロジェクトの目的や内容に合わせて、業務標準を最適化しようとすることが「テーラリング」ということです。
テーラリングの基本的な考え方
実は、テーラリングの手順には「特に決まりない」が結論です。
個別のプロジェクトの状況や内容に合わせて「ケース・バイ・ケース」というのが、ホントのところになります。
ただそれでは、初心者の人にとっては身も蓋もありませんので「プロジェクト全体プロセス」のテーラリング例についてご紹介します。
プロジェクト計画を立案する前に行うテーラリングは以下の通り。
step
1プロジェクト目標達成に最適なライフサイクルを選ぶ
例:予測型、反復型、適応型(アジャイル)サイクル
step
2実行するプロセスを定義する
例:5つのプロセス群で実行する10の知識エリア
step
3個別プロジェクトに合うように変更を加える
例:手順、基準、テンプレート等
step
4過去実績から最適化したプロセスでプロジェクトを計画する
例:教訓簿、リスクアセスメント、スケジュール
ここでは「①プロジェクト目標達成に最適なライフサイクルを選ぶ」が重要です。
ライフサイクルの「どの型」を選択するかによって、その後に続く実行プロセスの定義やプロジェクト計画の立案が変わってくるためです。
初期段階でコストなどを決定する「予測型ライフサイクル」と事前の見通しが難しく短時間で変化に対応していく「適応型ライフサイクル」では、計画する最適なプロセスが違います。
コミュニケーション・マネージメント計画を例に説明しますと
予測型では、事前にQCD(品質、コスト、スケジュール)などは決定されていますので、「ステークホルダーへの報告は決められた目標通りに進捗しているかという視点」になります。
この場合、問題がない場合には「報告頻度は月に一回、メールでOK」になるかもしれません。
ですが、「適応型ライフサイクル」では報告方法を変える必要があります。
作業は進めていますが多くの目標や要素が不確定であり、ステークホルダーからの要求にも激しい変動が予想されています。
進捗を報告すると同時に、「要求や状況に変化や変更がないか」ということを重点的に確認する作業が必須になってきます。
報告頻度を週1回に増やし、報告方法も直接顔を合わせて会議をするといった方法で「敏感に状況を感じ取る手段」が必要になってくるでしょう。
ライフサイクルの選択だけで、コミュニケーションが大きく変わってきます
ですので、プロジェクト計画のテーラリングでは「ライフサイクルの選択が重要」になってくるということです。
テーラリング成功の秘訣
業務標準を個別のケースに合わせて最適化することがテーラリングですが「変えてはいけないことまで変えてしまうのはNG」です。
品質や効率向上が目的の「業務標準の意味がなくなってしまう」ためです。
初心者によくありがちな例が、立上げでのプロセス・スキップです
プロジェクトの目標や要件などを決定事項としてオーナーや上司から渡された場合、そのまま計画プロセスを始めてしまう初心者がいます。
立上げプロセスでの「プロジェクト憲章作成」や「ステークホルダーの特定」をスキップしてしまうということですね
決定事項として詳細要件を渡されると、少しでも時間を稼ごうと「そのまま作業を始めたくなる気持ち」もよくわかります。
また、要件がはっきりしているのに「立上げプロセスなんて時間の無駄」と感じる人もいるでしょう。
ですが、PMBOKをベースにした業務標準で「立上げプロセス」をスキップしてしまうことは、あとで効率の低下やトラブルの要因となります。
例えば、プロジェクト憲章では各要件とともに「プロジェクトマネージャーの権限」も明確に規定し、承認されます。
プロマネが「どこまで自己判断の決定権を持つか」ということですね
なにか変更や修正の決定が必要なときに、プロマネ自身がどこまで決定して良いのかわからずに、いちいちオーナーや上司の承認を取っていては作業が思うように進みません。
効率も悪くなりますし、スケジュールに遅れが出る可能性もあります。
そういったことを防ぐために業務標準には立上げプロセスがあり、「各プロセスで決定が必要なことについては事前の明確化」を規定しています。
ですので、一見不要そうに見えるプロセスでも変更してはいけない業務標準については、基準・手順を変えてはいけないということです。
もう少し詳しく知りたい方は、こちらの関連記事をどうぞ!
プロジェクト憲章とは?【その目的と内容をわかりやすく説明】
立上げプロセス群について【現役PMPが解説】
まとめ テーラリングとは?
本記事の内容
その①「テーラリング」とは?
その②「テーラリング」の基本的な考え方
その③こんな「テーラリング」成功の秘訣
今回は、PMBOKのテーラリングについてご紹介しました。
目標を達成するために、非常に有効な手段がテーラーリングです。
ですが、やりすぎては「品質や効率の低下の原因」になります。
会社や組織にある業務標準の目的をよく理解し、変えてはいけないことをよく理解しておくことがベストなテーラリングのためには、必須の知識となるでしょう。
まずは、PMBOK手法をよく理解しておくことで業務標準の理解もより深まると思いますよ。
それでは、今回は以上です。
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